【完全版】係活動の指導を丸ごと全部紹介!

どうも、まっつーです。
学級で係活動をしていても、「子どもたちが自主的に動かない…」「自分(先生)の指示が増えてしまっている…」とお悩みではないでしょうか?
また、初めて担任を持つ先生や、これから先生になりたいと考えている人の中には、「どうのように係活動の指導をしたらいいんだろう?」と困っているかもしれません。
実は、係活動というのは、ただ役割を割り当てるだけでは子どもたちの自主性は育ちません。
大切なのは、先生が子どもたちが“自分でやってみたい!”と心から思えるようにすることです。
今回の記事は、子どもたちの自主性がぐんぐん育つ係活動の指導法を丸ごと全部解説します!

この記事は以下のような人におすすめ!
- 子どもたちの係活動に取り組む姿勢が受け身で、やる気をあまり感じられない
- 特定の子ばかりが頑張っていて、他の子は進んで動かない
- 係を自主的にやらせたいけど、結局「〇〇やってね」と声をかけないと難しい
この記事を読めば、指導を通じて係活動を“ただの仕事”から“夢中になれる活動”へと変えることができるようになります。
この記事を書いた人↓

係活動って何?
「係活動って何ですか?」と先生に質問すると、人によって少しずつ違う答えが返ってくることがあります。
言っている内容の根本は同じでも、使う言葉や説明の仕方に違いがあるため、「そもそも、係活動の正しい意味って何なんだろう?」と疑問に思うのも当然のことです。
そこで、国立教育政策研究所が出している「特別活動」に関する資料の中から、係活動の意味が示されている文章を紹介します。
国立教育政策研究所の資料で示す「係活動」
日本の教育に関する調査・研究を専門に行っている、文部科学省の研究機関です。英語では「National Institute for Educational Policy Research(NIER)」といいます。
「文部科学省 国立教育政策研究所 教育課程研究センター 特別活動 小学校編(平成30年7月)」の11ページには、係活動の意味が以下のように示されています。
①学級生活を共に楽しく豊かにするために②児童が仕事を見いだし,③創意工夫して④自主的,実践的に取り組む活動
①〜④について解説します。
①学級生活を共に楽しく豊かにするため
後述しますが、【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説でも示されている「係活動のねらい」に当たる部分です。
「学級生活」とは、授業はもちろん、休み時間、掃除、給食、行事やイベントなど、学校の中でクラスメートと一緒に過ごすあらゆる時間のことです。
また、「楽しく豊かにする」とは、ただ「にぎやかにする」や「遊びを増やす」だけではありません。
つまり、一人ひとりのアイデアや行動が、クラスみんなの心を明るくし、居心地のよい学級になるようにすることが、「楽しく豊かにする」という意味です。
②児童が仕事を見いだす
係活動では、先生から「これをやってね」と決まった仕事を与えられるのではなく、子どもたちが自分で必要な仕事ややりたい活動を考え、係として形にしていくことが大切です。
例えば、「教室の雰囲気がもっと明るくなるように壁に飾りをつけたい」と思った子が「飾り係」を作ったり、「友達の誕生日をお祝いしたい」と考えた子が「誕生日係」を提案したりするのも、「仕事を見いだす」行動の一つです。
つまり、子どもたちが自分の目で学級を見て、「こうしたらもっとよくなる」という視点で行動を起こすことが、「仕事を見いだす」ということなのです。
③創意工夫
「創意工夫」とは、アイデアを考えたり、提案したりして、もっとよくなるように工夫することです。
決まったやり方をただやるだけでなく、「こうすればもっと楽しくなるかも」「こんな方法ならうまくいきそう」と、やり方を変えたり、新しいことを取り入れたりすることを意味します。
例えば、「新聞係」が新聞を作るときに、「ただ出来事をまとめるだけ」ではなく、「イラストを入れたらもっと読みやすくなるかな?」「クラスの人気ランキングをのせたら楽しいかも!」と、自分たちで新しいアイデアを出して活動を工夫していくことが創意工夫です。
※前述した国立教育政策研究所の資料では、「創意工夫」の部分が赤字で強調されているように、特に重要なポイントとして紹介されています。
④自主的、実践的に取り組む
先生に言われたからやるのではなく、子どもたちが「自分でこうしたい」「このクラスをもっと楽しくしたい」と思って、自分から動き出すこと…これが「自主的に取り組む」ということです。
また、ただ「こうしたいなぁ」「やってみたいなぁ」と思い浮かべるだけではなく、自分たちで計画を立てて、準備して、実際に活動する。
そして、失敗したら反省して、もっとよくするためにやり方を変える。
このように行動をくり返していくことが、「実践的に取り組む」ということです。

国立教育政策研究所の資料で示された文言は大人向けの表現であり、子どもたちには伝わりにくいため、私は以下のように説明をします。
係活動…学級生活を共に楽しく豊かにするために児童が仕事を見いだし,創意工夫して自主的,実践的に取り組む活動
⇒係活動とは、子どもたち一人ひとりが自分たちのクラスをもっと楽しく、もっと過ごしやすい場所にするために、自分のやりたい仕事をみんなで話し合って決め、工夫しながら進んで取り組んでいく活動のことです。
低学年の場合は、「係活動というのは、クラスをもっと楽しく、過ごしやすくするために、みんながやりたい仕事を見つけて、自分たちでがんばってやっていく活動のことです。」と話すと、わかりやすいと思います。
係活動を通して、子どもたちは自分の役割を果たすことの大切さや、仲間と協力して何かをやり遂げることの良さや楽しさを学びます。
また、自分のアイデアを生かしたり、友達の意見を取り入れたりしながら、よりよい学級をつくっていこうとする気持ちや態度も育っていきます。

係活動の意味を深堀りするために、次は小学校学習指導要領やその解説(特別活動)の内容を見ていきましょう。
小学校学習指導要領における「係活動」
小学校学習指導要領(平成29年告示)の「第6章 特別活動」の184ページには、係活動について以下のように示されています。
イ 社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解
清掃などの当番活動や係活動等の①自己の役割を自覚して②協働することの意義を理解し,③社会の一員として役割を果たすために必要となることについて主体的に考えて行動すること。
①〜③について解説します。
①自己の役割を自覚
自分の係の仕事が学級全体にどのように役立っているのかを理解し、責任をもって取り組む姿勢を身につけることが求められます。
例えば、掲示係なら「学級の雰囲気を明るくする」、レク係なら「みんなが楽しく交流できる場を作る」など、自分の係の役割を果たすことで、学級全体がより良くなることを実感することが重要です。
こうした実感をもてるようになると、子どもたちは「自分の仕事がみんなのためになっている」と感じ、自己有用感や社会の一員としての自覚が育まれます。
②協働することの意義を理解
自分一人では難しいことも、仲間と協力することでより良い形にできることを学ぶ機会にもなります。
活動の中では、「どうすればもっとよくなるかな?」「この仕事はどちらがやるといいかな?」といった問いに対して、お互いの意見を出し合ったり、役割分担を工夫したりする場面がたくさんあります。
ときには考えがぶつかることもあるかもしれませんが、そうしたときこそ相手の気持ちを聞いたり、譲り合ったりしながら、よりよい答えをいっしょに見つけていくことが大切です。
このような活動を通して、協働する意義を実感として理解することにつながっていきます。
③社会の一員として役割を果たすために必要となることについて主体的に考えて行動する
社会では、それぞれが役割を持ち、協力しながら成り立っています。
同じように、係活動でも「何をすれば学級がもっと快適になるか?」「仲間とどのように協力すればよいか?」を自ら考え、行動することが大切です。
また、決められたことをこなすのではなく、「もっと工夫できることはないか?」「改善できることはないか?」と考え、積極的に提案したり行動したりすることが求められます。
このような経験を通じて、社会の中で自分の役割を果たし、周囲と協力しながら主体的に考えて行動する力を身につけることにつながります。
【特別活動編】小学校学習指導要領解説における「係活動」
【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の71ページには、係活動のねらいについて以下のように示されています。
係活動は,学級の児童が学級内の仕事を分担処理し,児童の力で学級生活を楽しく豊かにすることをねらいとしている。
学級の中にはいろいろな「やるといいこと」「あると楽しくなること」があります。
教室の壁に飾りをつけたり、みんなが楽しめるクイズを出したり、イベントの準備をしたり…さまざまなアイデアを思いつくことができます。
こうした活動を「やりたい人」や「得意な人」「好きな人」が集まって、それぞれの係として担当し、アイデアを実現する活動が「係活動」です。
大切なのは、子どもたちが自分で「こんな係をやってみたい!」「こうしたらクラスがもっと楽しくなる!」と考え、話し合って決めて、実際に行動することです。
これは、子どもたちにとって「やらされる」ものではなく、自分たちの手で学級生活を楽しく豊かするための自主的な活動です。

子どもたちから「何のために係活動をやるの?」と質問されたら、どう答えればいいの?

係活動のねらいを子どもに伝わるように言い換えて、「みんなでクラスの仕事を分け合って、自分たちの力でクラスの生活を楽しくて過ごしやすいものにするためだよ」と答えるようにしましょう。
当番活動と係活動の違い
前述した【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の71ページの続きには、以下のように示されています。
したがって,当番活動と係活動の違いに留意し,教科に関する仕事や教師の仕事の一部を担うような係にならないようにすることが大切である。例えば学級新聞係や誕生日係,レクリエーション係など,学級生活を共に楽しく豊かにするために創意工夫しながら自主的,実践的に取り組むことができる活動を行うようにする。
学級の仕事には当番活動と係活動がありますが、それぞれの役割が混ざらないように区別することが大切です。

当番活動と係活動の違いは何なの?

当番活動と係活動の特徴を整理しながら、その違いを見ていきましょう。
当番活動の特徴
当番活動は、学級の生活が円滑に進むように、必要な仕事を子どもたち全員で分担する活動です。
例えば、日直当番、給食当番、掃除当番、一人一役当番がこれにあたります。
当番活動の特徴は①〜④の4つあります。
①学級の維持に必要な仕事
学級がスムーズに運営されるために必要な仕事を行います。
もし誰かが担当しなければ、学級生活に支障が出てしまうものです。
②全員が公平に担当する
基本的に輪番制(順番制)で行い、特定の子どもに負担が集中しないようにします。
みんなが公平に役割を担い、学級の一員としての責任を学ぶ機会になります。
③決まったやり方に従って行う
一定のルールや手順が決まっているものが多いです。
例えば、掃除当番では「ほうきで掃く→ぞうきんがけをする→机を整える」といった流れが決められていることが一般的です。
④短期間で交代する
一つの当番を担当する期間は1週間~1か月(一人一役当番は1日交代の場合もある)など、比較的短いです。
交代しながら役割を経験することで、責任感や協力する力を育てることができます。
係活動の特徴
係活動は、子どもたちが学級生活をより楽しく豊かにするために、自分たちで考え、工夫しながら取り組む活動です。
例えば、学級新聞係、誕生日係、レクリエーション係などがあります。
係活動の特徴は①〜⑤の5つあります。
①学級をより良くするための創意工夫
係活動の目的は、学級の雰囲気を明るくしたり、仲間と楽しく過ごせる環境を作ったりすることです。
子どもたちのアイデアや工夫が生かされるようにします。
②児童が主体的に取り組む
係活動は、学級をより良くするために自ら進んで行う仕事です。
そのため、「どんな係を作るか?」「どんな活動をするか?」は、学級会などで話し合いながら決めていきます。
③個人の得意なことを生かせる
係活動では、自分の興味や得意なことを生かして活動することができます。
例えば、絵が得意の子どもは「イラスト係」、文章を書くことが好きな子どもは「新聞係」など、それぞれの個性を発揮する場になります。
④活動内容や方法を工夫できる
係活動では、活動の方法や計画を子どもたち自身が考えて決めることができます。
例えば、「レク係」が「クイズ大会を企画しよう!」と考えたり、「学級新聞係」が「新聞にみんなの一言感想を載せよう!」とアイデアを出したりすることができます。
⑤長期間にわたって継続する
係活動は学期を通して続けることが一般的です。
そのため、計画を立てたり、定期的に振り返ったりすることが求められます。
(まとめ)当番活動と係活動の違い
項目 | 当番活動 | 係活動 |
---|---|---|
目的 | 学級生活を円滑に運営するために必要な仕事をする | 学級生活をより楽しく充実させるために創意工夫する |
活動内容 | 日直当番、給食当番、掃除当番など | 学級新聞係、誕生日係、レクリエーション係など |
決め方 | 先生が決めたり、事前に決まっていたりする | 学級会などで話し合い、子どもたちで決める |
担当者 | 全員が公平に分担(輪番制) | 子ども自身で選び、好きなことや得意なことを生かす |
活動の進め方 | ルールや手順が決まっている | 自分たちで計画を立て、工夫しながら取り組む |
活動期間 | 1週間~1か月ごとに交代 ※一人一役当番は1日交代の場合もある | 学期で継続するのが一般的 |
当番活動と係活動は、どちらも学級生活に欠かせないものです。
- 当番活動…「学級の基盤を支える活動(やらなければならない仕事)」
- 係活動は「学級をより楽しくする活動(やりたい仕事)」
と考えると、わかりやすいでしょう。
当番活動と係活動を分ける理由

どうして、当番活動と係活動を分けなければならないの?

それは、教師の指導の視点が変わるからだよ。
教師の指導の視点は、①〜③の3つあります。
①指導の目的が異なる
当番活動は、学級全体の生活がスムーズに回るように支えるための、言わば「学級の基盤」を整える役割を担う活動です。
黒板をきれいにする、水やプリントを配る、日直として日々の進行を支えるなど、日常的で必要不可欠な仕事を分担して行うことで、責任感やルールの大切さを学びます。
そのため、全員が公平に役割を分け合い、淡々と責務を果たしていくことが求められます。
これに対して、係活動は「学級をもっと楽しく、もっと豊かにしたい」という思いを出発点に、子どもたち自身がアイデアを出し合いながら創り上げていく活動です。
例えば、新聞係やレクリエーション係など、自分たちの興味や得意なことを生かしながら工夫を凝らし、クラスに笑顔や活気を生み出すことを目的としています。
このように、それぞれの活動がもつ目的や性質が異なるにもかかわらず、同じようなやり方で指導したり、取り組ませたりしてしまうと、やらされ感や不公平感につながってしまうのです。
②子どもたちの育成に関わる部分が異なる
当番活動は、ある程度決まった役割を淡々とこなすことが基本になります。
しかし、係活動では「何をするか」「どうやってやるか」を自分たちで考え、話し合い、実行していくプロセスが重視されます。
つまり、係活動の意義は結果よりも過程にあり、子どもたちが試行錯誤を繰り返しながら、自分たちで学級をより良くしていこうとする「自治的な姿勢」こそが最も大切なのです。
ところが、係活動を当番活動と同じように「割り当てられた仕事」として扱ってしまうと、子どもたちの自由な発想や主体的な意欲がそがれてしまいます。
結果的に「やってもつまらない」「どうせ決まったことをやるだけ」という受け身の態度が生まれ、活動そのものへの関心も次第に薄れてしまうおそれがあります。
評価やふり返りの視点が異なる
当番活動では、「自分の担当の日にきちんと仕事を果たせたか?」「ミスなく責任を全うできたか?」といった、行動面や継続性に注目してふり返ることが多くなります。
一方で、係活動は「どんなアイデアを出したか?」「クラスにどんな変化や効果をもたらしたか?」といった、子どもたちの創意工夫や実践の質、そして学級への影響に注目する必要があります。
仮にこの視点を混同してしまい、例えば「きちんと毎週同じことをやったかどうか?」だけを基準に係活動を評価してしまえば、アイデアを出して挑戦した子や、仲間と協力して学級に良い変化をもたらした子の努力が見過ごされてしまうことになりかねません。
これは、子どもの学びへのモチベーションを下げてしまう原因にもなります。
学級会「係を決めよう」
前述した【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の71ページの続きには、さらに以下のように示されています。
係活動の組織づくりに当たっては,学級会の議題として取り上げ,学級にとって必要のある係を話合い活動で決定し,全員で役割を分担するなど,自主的,実践的に取り組むことができるようにすることが大切である。

係活動は、学級会で子どもたちが話し合って決める必要があるんだね。

先生がすべてを一方的に決めてしまうのはよくないんだよ。
具体的にどのように学級会で話し合って係を決めていけばいいのか、STEP1〜5まで順にポイントを解説してきます。
事前準備
先生は、学級の子どもたちが「どんな係があるといいかな?」と、自分で考えられるように事前準備をする必要があります。
係を考えさせるための「問い」
学級担任がたくさんのアイデアを出すのもよいことですが、できるだけ子ども自身が「これをやってみたい!」と思えるような係を、自分たちで見つけていけるようにしたいものです。
そのためには、次のような問いかけを事前にしてみましょう。
こうした問いかけが、子どもたちの「係について考えるきっかけ」になります。
学級会を開く日時を知らせる
係を決める学級会の日時を事前に知らせておきましょう。
あらかじめ伝えておくことで、子どもたちは準備の時間を持つことができます。
例えば、これまでの係活動を思い出したり、他の教室を見学して参考にしたりすることができるようになります。
また、「こんな係があったら楽しそう!」と、自分だけのオリジナル係を考える子も出てくるかもしれません。
こうしてしっかりと準備ができていれば、学級会当日には、子どもたちからたくさんの意見やアイデアが出て、活発な話し合いが生まれることが期待できます。
議題を決める
係活動を始めるには、まず学級会で「係を決めよう」という議題を出します。
そのとき大切なのは、単に「新学期が始まったから係を決めなくてはならない」と進めるのではなく、「どうして係が必要なのか?」という理由を子どもたち自身に考えさせ、改めて確認することです。
できれば、小学校学習指導要領に示されている「学級生活を楽しく豊かにするため」という考え方に近い言葉で、子どもたちが自分の言葉で理由を語ってくれると嬉しいものです。
とはいえ、中には「係って毎年決めるから、理由なんて考えたことがなかった!」と言う子や、「当番活動と何が違うの?」と戸惑う子もいるかもしれません。
そのような声が多い場合は、先生から係活動のねらい(子どもたちにとっては係活動の目的)について、わかりやすく説明するとよいでしょう。
「ただ係を決めるための学級会」ではなく、「自分たちの学級に合った係を提案し、自分自身が意欲をもって参加できそうな係を選ぶための学級会」だと子どもたちが理解し、期待や意欲を持てるようにすること
意見を出し合う
議題が決まったら、次はみんなで意見を出し合います。
このとき大切なのは、「○○係がいいと思います」だけで終わらず、「なぜその係が必要だと思ったのか?」「その係は、どんな活動をするのか?」といったことも合わせて話すようにすることです。
そうすることで、聞いている友達にもその係のイメージが伝わりやすくなりますし、新しいアイデアがどんどん広がっていきます。
例えば、こんな意見があると、とてもわかりやすくなります。
意見を比べてまとめる
出された意見をくらべてみると、似たような活動内容の係がいくつか出てくることがあります。
その場合は、内容を整理して、ひとつにまとめる工夫が必要になることがあります。
反対に、希望する子が多すぎる場合には、活動の内容を見直して、係を分ける工夫も考えましょう。
話し合いの中で、「こんなふうにまとめたらどうかな?」「分けてみたらうまくいきそうだ!」という意見が出ると、よりよい係活動につながります。
役割を決める
係の種類が決まったら、いよいよ子どもたちがどの係に入りたいかを決めます。
このとき、「仲の良い友達がいるから」「みんなが希望しているから」という理由ではなく、「自分がやってみたい」「この係なら力を発揮できる」という気持ちを大切するように伝えましょう。
自分が好きなこと、得意なことを生かせる係に入れば、活動も自然と楽しくなります。
もし迷っている子どもがいたら、周りの人に相談してもよいことを伝えておくと、子ども自身で決めるきっかけになったり、考えを整理する助けになったりします。
係活動を決める際の方法としてよく使われる 「①名前マグネットを使う方法」 と 「②タブレット等のICT端末を活用する方法」があります。
①名前マグネットを使う方法
黒板に係名を書き出しておき、子どもたちが自分の名前マグネットを貼って希望を表明する方法です。
- 黒板に係名を書く
- 子どもたちに自分の名前マグネットを持たせる(あるいは黒板横に常設)
- 自分の希望する係に名前マグネットを貼り、意思表示する
- 変更や調整があれば、名前マグネットを移動する
②タブレット等のICT端末を活用する方法
児童一人ひとりがタブレット端末などを使って係の希望を入力・提出し、全体で共有して調整する方法です。
- 係活動の一覧をICT端末上で共有
- 子どもがタブレットで希望を入力
- 学級全体に結果を共有
- 必要に応じて変更や調整を行う
※使用する端末やアプリによって方法や手順が異なります
どちらの方法も、「自分で選んだ」という実感をもたせることがポイントです。
係活動の一覧表70選
前述した【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の71ページの続きには、さらに以下のように示されています。
設置する係の種類や数は,児童の発達の段階とともに学級や学年の実態によって異なる。そのため,児童の創意工夫を十分に生かして計画し活動できるよう適切に指導することが望まれる。
「どんな係をつくるか?」「いくつ係をつくるか?」は、子どもたちの成長の様子(年齢や学年)や、その学級の特徴に合わせて柔軟に対応することが求められます。
そこで、私が担任したクラスの子どもたちが実際に取り組んでいた係活動に加え、他の先生方の実践事例も参考にしながら、「係活動70選(50選+20選)」として一覧表にまとめました。
学級会で係活動を決める際のヒントとして、ぜひご活用ください。
創意工夫ができる係活動50選
まずは、「創意工夫ができる係活動50選」を紹介します。
係の名前 | 主な活動内容 | |
---|---|---|
1 | 新聞係 | 学級のニュースや出来事を記事にまとめて新聞を作る |
2 | 誕生日係 | 友達の誕生日をお祝いするメッセージを用意したり、牛乳で乾杯の音頭をとったりする |
3 | レクリエーション係 | 休み時間にみんなで遊ぶものを企画したり、お楽しみ会を運営したりする |
4 | クイズ・なぞなぞ係 | みんなにクイズやなぞなぞを出題する |
5 | マンガ係 | 描いたマンガを掲示したり、何本か描きためたマンガをまとめてコミック本のようにして発表したりします。 |
6 | イラスト係 | イラストを描いて教室に貼ったり、学級のキャラクターを創作したりする |
7 | ミュージック係 | 流行りの曲やおすすめの音楽を紹介する |
8 | スポーツ係 | 得意なスポーツを教えたり、ルールや歴史を紹介したりする |
9 | 天気係 | 毎日の天気や気温を伝えたり、服装や持ち物をアドバイスしたりする |
10 | ブック係 | おすすめの本を紹介したり、読み聞かせをしたり、学級文庫を整理したりする |
11 | 飾り係 | 季節の行事に合わせた飾りや、教室の雰囲気が楽しくなるような飾りを作って、壁などに掲示する |
12 | チャレンジ係 | 学級でできるチャレンジ企画を考え、その記録をまとめたり発表したりする |
13 | マジック係 | トランプカードなどを使ってマジックを披露したり、教えたりする |
14 | 動植物係 | 動植物の生態などを調べて発表したり、友達に虫の捕まえ方を教えたりする。 |
15 | 工作係 | クラフトやDIYの作品を作って教室に飾ったり、みんなが使えるようにしたりする。 |
16 | カレンダー係 | 学校行事や友達の誕生日をカレンダーに記入したり、季節の行事の由来を説明したりする |
17 | 手話係 | 手話を覚えてみんなに教えたり、手話通訳をしたりする。 |
18 | トラベル係 | 国内や国外の旅行先を調べ、観光名所を紹介したり、実際に旅行した体験を発表したりする |
19 | ダンス係 | 動画を見ながらダンスを覚えて発表したり、みんなに教えたりする |
20 | 占い係 | 星占いやラッキーカラーなどを紹介する |
21 | 心理テスト係 | おもしろい心理テストを調べて、友達にわかりやすく紹介する |
22 | テスト予想係 | 学習した内容からテストに出そうなポイントを予測し、まとめて紹介する |
23 | ニュース係 | 新聞やテレビ、ネットで見たニュース記事をまとめ、紹介する |
24 | 地域係 | 学校周辺の名所や美味しいお店を紹介する |
25 | マンガ考察係 | 人気マンガの今後の展開を予想して紹介する |
26 | 豆知識(雑学)係 | みんなの知らない豆知識(雑学)を調べ、紹介する |
27 | レスキュー係 | 困っている友達をサポートしたり、欠席している友達へメッセージを書いたりする |
28 | 写真係 | タブレット等のカメラ機能を使って写真を撮り、教室に掲示する |
29 | お笑い係 | お笑いのコントを考えたり、モノマネを練習したりして、ネタを披露する |
30 | 偉人係 | 歴史人物や現在活躍している有名人を調べて、紹介する |
31 | 環境美化係 | 教室がきれいになるように、落とし物を管理したり、整理整頓を呼びかけたりするなど、美化活動を行う |
32 | 動画紹介係 | 学習に関するおすすめの動画を紹介する |
33 | ゲーム係 | プログラミング系のアプリやサイトでゲームを制作し、発表する |
34 | 迷路係 | 手作り迷路を作って発表する |
35 | 作家係 | 創作物語を作って発表する |
36 | 折り紙係 | 折り紙の作品をプレゼントしたり、折り方を教えたりする |
37 | 演奏係 | 得意な楽器(リコーダーや鍵盤ハーモニカだけでなく、習い事のピアノ、ギター、バイオリンなど)の演奏を披露する |
38 | 動画クリエイター係 | タブレット等のカメラ機能を使って動画を撮影し、編集して紹介する |
39 | 商品レビュー係 | 使いやすい文房具や美味しい駄菓子など、おすすめの商品を紹介する |
40 | 料理係 | 給食の献立や自宅で調理したレシピを紹介する |
41 | アイドル係 | 歌やダンスを披露して、みんなを盛り上げる |
42 | ボードゲーム係 | 囲碁や将棋などの大会を開いたり、やり方を教えたりする |
43 | ドラマ・映画係 | タブレット等のカメラ機能を使ってドラマ(映画)を撮影し、編集して紹介する |
44 | ミュージカル係 | 小道具を作ったり、演技の練習をしたりして、ミュージカルを披露する |
45 | ファッション係 | 流行のファッションや季節のコーディネートを紹介したり、服のデザインを考えたりする |
46 | 昔遊び係 | けん玉やお手玉、こま回しなど昔遊びの技を披露したり、教えたりする |
47 | ラジオ係 | トーク内容をタブレット等の音声機能で録音し、それを流してみんなを楽しませる |
48 | 実験係 | 実験の様子を見せたり、観察した結果を写真やグラフなどで紹介したりする |
49 | アンケート係 | 友達や先生にインタビューをしてランキングを紹介したり、他の係からの依頼を受けてアンケートを実施したりする |
50 | アニメ係 | アニメの名場面や名言を紹介したり、キャラクターの絵を描いたり、人気のアニメを発表したりする |
係活動50選を紹介しましたが、大切なのは名前があることではなく、実際にしっかりと活動できているかどうかです。
たとえ「◯◯係」という名前がついていても、先生に言われないと動かない、自分の仕事をずっと放置しているようでは、それは本当の係活動とは言えません。
例えば「新聞係」の場合、月に1回新聞を出す約束だったのに発行されるかどうか分からない、出てきたとしても字が乱雑で読みにくく、内容もあいまいで正確さに欠けていたら、見る人にとっては楽しさや信頼を感じることができません。
名前だけの係にならないよう、一人ひとりが自主性を持って活動することが求められるのです。
当番活動や先生の手伝いをきっかけにアイデアが広がる係活動
次に「当番活動や先生の手伝いをきっかけにアイデアが広がる係活動20選」を紹介します。
係の名前 | 主な活動内容 | |
---|---|---|
51 | 黒板係 | 【本来は当番活動】黒板の掃除や日付・時間割の記入、落とし物の掲示など、黒板をいつも見やすく整えておく |
52 | 配り係 | 【本来は当番活動】ノートやプリントを配るだけでなく、職員室から学級の荷物を運んだり、資料をまとめてホチキスでとじたり、他の係が作ったものを配ったりする |
53 | 保健係 | 【本来は当番活動】健康観察板を持ってくるだけでなく、体調が悪い友達を保健室へ連れて行ったり、欠席した友達へ明日の連絡やメッセージを書いたり、健康に関わる情報を知らせたりする |
54 | チェック係 | 【本来は先生の仕事】宿題や持ち物のチェックをするだけでなく、ロッカーや机の中が整理整頓されているか、電気が消えているか、人数が何人いるかなどをチェックする |
55 | 給食係 | 【給食当番】欠席した給食当番の代わりに白衣に着替えて配膳をしたり、片付けのときに残食を食缶に入れたり、給食の献立を伝えたりする |
56 | 掃除係 | 【掃除当番】掃除がない日に教室を掃除したり、他の学級や学年で担当になっていない場所をきれいにしたりする |
57 | 教室環境係 | 【本来は当番活動】カーテンや窓の開閉、電気の管理、棚の整理、当番表を回すなど、教室環境を整える |
58 | 国語係 | 【教科に関する仕事】漢字の成り立ちや、小学校では習わない読み方を紹介したり、教科書に出てくる物語文の作者について調べて、その人の他の作品を紹介したりする |
59 | 算数係 | 【教科に関する仕事】自作の算数の問題をみんなに出したり、公式などが書かれた掲示物を作ったり、友達に解き方を教えたりする |
60 | 社会係 | 【教科に関する仕事】日本や世界の歴史について調べたことを発表したり、地域の有名な場所や産業、名産物を紹介したりする |
61 | 理科係 | 【教科に関する仕事】実験の準備の手伝いをしたり、生き物の生態や虫の捕まえ方を紹介したり、オリジナルの図鑑を作ったりする |
62 | 音楽係 | 【教科に関する仕事】音楽の先生から学習予定や持ち物を聞いて、それをみんなに伝えたり、学級内での歌や演奏の練習をリードしたりする |
63 | 図工係 | 【教科に関する仕事】図工の先生から学習予定や持ち物を聞いて、それをみんなに伝えたり、図工の準備や作品展示の手伝いをしたり、オリジナルの工作を教室に飾ったりする |
64 | 外国語係 | 【教科に関する仕事】英語のフレーズや単語を紹介したり、世界の国々のあいさつや国旗、イベント、観光名所などを紹介したりする |
65 | 体育係 | 【教科に関する仕事】準備運動や整理運動を先生と一緒にリードしたり、ラインカーで白線のコートを引いたり、体育館や校庭に倉庫の鍵を借りてきたりする |
66 | 家庭科係 | 【教科に関する仕事】調理や裁縫の仕方を覚えて友達に教えたり、レシピを掲示したり、クッションなどを作って休み時間にリラックスするできる場所を整えたりする |
67 | 事務用品係 | 【本来は先生の仕事】事務さんから授業で使用する教材を借りて教室に運んだり、使い終わった後にきちんと返却したり、文房具などが足りなくなったときに先生に伝えたりする |
68 | 生き物係 | 【本来は当番活動】教室で飼っている動物や育てている植物の世話をリードし、育てるコツを調べて紹介したり、友達にアドバイスをしたりする |
69 | 掲示係 | 【本来は当番活動】図工の授業や他の係活動で作った友達の作品を掲示したり、教室の掲示レイアウトを提案したり、オリジナルの掲示物をつくったりする |
70 | 荷物係 | 【先生の仕事】教材室から全員分の教材を運んだり、友達の荷物を運ぶ手伝いを行ったり、教室に落ちている荷物の持ち主を探したりする |
実際に、子どもたちが先生の手伝いや当番活動からスタートし、それを自分たちの発想で工夫・発展させていくことで、係活動へと変化するケースは多く見られます。
たとえば、最初は「当番活動として黒板を消していた」子が、自分から「黒板消しクリーナーも掃除した方がキレイになるよ」「先生の代わりに明日の予定を書こう」「落とし物を黒板に貼って知らせよう」と言い出します。
さらに「この黒板の仕事を、みんなで協力してやるようにしよう」と提案するようになると、それはもはや“手伝い”ではなく、自主的な“係活動”になっているのです。
指導する側としては、こうした子どもたちの変化の芽に気づき、それを肯定的に支援することが、係活動を育てるうえで大切になります。
当番活動?それとも係活動?

51〜70の仕事は係活動というよりも、当番活動に当てはまるんじゃないの?

とても良い質問です!当番活動か係活動かを判断する考え方を説明しますね。
再び説明しますが、【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の71ページには、以下のように記述されています。
したがって,当番活動と係活動の違いに留意し,教科に関する仕事や教師の仕事の一部を担うような係にならないようにすることが大切である。例えば学級新聞係や誕生日係,レクリエーション係など,学級生活を共に楽しく豊かにするために創意工夫しながら自主的,実践的に取り組むことができる活動を行うようにする。
つまり、係活動は…
と解釈することができます。
これまで私は、当番活動と係活動をきちんと区別して考えることの大切さをお伝えしてきました。
この考え方は、学級経営の視点から見ても非常に理にかなっていると言えるでしょう。
しかし、それはあくまで「大人の都合のよい理屈」であり、学級で生活している子どもたちにとっては、そのような大人の考え方がそのまま通用するわけではないのです。
実際には、
このように、子どもたちの「やりたいこと・好きなこと・得意なこと」が、当番活動の内容や教科に関する仕事、先生の仕事の範囲内である場合があります。
また、前の学年で子どもたちが係活動として意欲的に取り組んでいたことがある場合、新しい学年で「それは当番活動だから違うよ」と一方的に否定してしまうと、子どもたちはがっかりしたり、「自分たちの工夫や努力が認められていない」と感じてしまうことがあります。
特に、子どもたちが自分たちで考えて形にしてきた係活動であればあるほど、その活動には思い入れや達成感、誇りが詰まっているものです。
係活動を決める際に、
- 「当番活動の内容だから、係の仕事としてやってはいけません!」「教科に関する仕事だから無理です!」「先生の仕事だから係には必要はないよ!」と、学習指導要領に沿ってきっちり線を引くのか?
- 子どもたちの思いや実態を大切にしながら、係活動に柔軟に取り入れていくのか?
学級をどのように運営していくかによって、その選択・判断も変わってくるはずです。
重要なことは、「これはやっちゃダメ!」ではなく、子どもたちの意欲や発想の生かし方を真剣に考えることではないでしょうか?
係活動の人数や時間
前述した【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の71ページの続きには、さらに以下のように示されています。
また,係活動を充実させるためには,①協力して活動できるよう各係の人数を複数にするなど配慮するとともに,②活動時間を確保する必要がある。
①と②について解説します。
①協力して活動できるよう各係の人数を複数にするなど配慮する
これは「子どもたちが安心して取り組めるように、先生があらかじめ人数のバランスを考えておくことが大事です」と解釈できるでしょう。
仕事の内容によっては、「何をすればいいのかわからない」「どうやって進めたらいいか悩む」「忙しくて手が回らない」と感じることもあります。
しかし、協力して実現できる人数しておけば、わからないことは相談できますし、お互いに助け合うこともできます。
また、仕事を分け合って負担を軽くしたり、一緒にアイデアを出したりすることもできます。
何より、仲間と一緒にやることで、活動そのものがもっと楽しく、前向きなものになるため、少なくとも2人以上のメンバーを配置するようにしましょう。
②活動時間を確保する
子どもたちが係活動に取り組むための“時間”を十分に用意することです。
どんなにやる気があっても、時間がなければ準備もできませんし、話し合いもできません。
係活動は授業のように決まった時間があるわけではないので、先生が意識して時間を確保することが必要です。
例えば、「帰りの会の前に5分間だけ係活動の時間をとる」「週に1回、係ごとの打ち合わせ時間をつくる」など、日々のスケジュールの中で、子どもたちが安心して活動できる時間を組み込む工夫が求められます。
係の人数を調整する方法

役割を決める中で、人数が多すぎる係や人数が少ない係が出てしまったら、どうすればいいの?

その場合は、人数の調整が必要かもしれません。
本当は、子どもたち全員が希望する係に入れるのが一番望ましい形です。
けれども、実際には希望する子が多すぎる係があったり、逆に希望者が少ない係があったりして、どうしても人数の調整が必要になることがあります。

そんなときは、「子どもたちが納得できるように、話し合いや工夫を通して決めていけるようにしましょう」っていう言葉を、聞いたことがあるよ。

理想的な考え方だけど、現実はそれほど単純ではないんだよ。
だからと言って、ジャンケンをさせて「負けたから」という理由だけで、本当はやりたくない係に入ってしまうような決め方は、できるだけ避けたいものです。
そういった場面では、前向きに係活動に取り組めるために、次のような方法が考えられます。
- 1つの係を2つに分ける
- 2つの係を1つにまとめる
- 少人数でも活動を始めてみる
- 複数の係に所属する
①1つの係を2つに分ける
希望者が多すぎる場合は、1つの係を2つに分けるという方法があります。
例えば、「スポーツ係」を「得意な運動をみんなに教えるスポーツ教室係」と「スポーツのルールや歴史を紹介するスポーツ紹介係」に分けることを提案します。
こうすれば、子どもたちの希望を叶えつつ、人数を分散させることができます。
②2つの係を1つにまとめる
希望者が少なすぎる係がある場合は、似た内容の2つ係を1つにまとめるという方法があります。
例えば、「音楽を流して曲や歌詞を紹介する係」と「リコーダーなどの楽器を演奏する係」がある場合は、それらを合わせて「ミュージック係」として統一することを提案します。
こうすれば、子どもたちの音楽への興味を引き出しながら、活動に参加する人数を増やすことができます。
③少人数でも活動を始めてみる
希望者が少なすぎる場合の別の方法として、まずは少人数でも活動をスタートしてみるという選択肢があります。
実際にやってみることで、「やっぱりおもしろそう!」「参加したい!」という子が後から増えることもあります。
もし難しそうな場合は、活動内容を見直したり、他の係に合流したりすることも考えるようにしましょう。
④複数の係に所属する
「複数の係に所属することもできる」ようにするのも一つの方法です。
例えば、「学級新聞係とレクリエーション係の両方に関わりたい」というように、自分の興味や得意を活かして、柔軟に活動の幅を広げることができます。
「係は1つだけに限定するべき」という制限を設ける規定は何もありませんから、子どもたちの活動できる範囲や負担を考慮に入れて進めると良いでしょう。

子どもたち自身が納得して、「このメンバーならやってみたい」「これなら自分にもできそう」と思えるように人数を調整することが、係活動をうまく進めるための第一歩です。
係活動を始めよう
前述した【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の71ページの続きには、さらに以下のように示されています。
さらに,活動予定やお知らせを掲示できる「係活動コーナー」の設置について,学校や学年として共通理解を図りながら取り組むことも大切である。
ここでの重要なポイントは、
学校や学年として共通理解を図りながら取り組むこと
つまり、「学級だけで完結するのではなく、学校全体や学年として共通理解を持ちながら取り組むこと」です。
たとえば、「どのような係活動が望ましいのか?」「活動の目的やねらいをどう伝えるか?」「活動時間や支援の仕方をどうするか?」などを、学校や学年であらかじめ共有しておくことで、子どもたちへの指導がブレずに安定します。
また、学年をこえて異学年での交流や、他クラスの活動から学ぶ機会も生まれ、子どもたちの視野や意欲がさらに広がるきっかけにもなります。
その代表的な方法として、「係活動コーナー」の設置が紹介されています。
係活動の進め方
係活動が始まると、子どもたちの学級生活は一気ににぎやかになります。
しかし、ただ係を決めただけでは、意味のある活動にはなりません。
という「問い」を持ちながら取り組むことが大切です。
係活動を進めていう上で必要なSTEP1〜4を説明していきます。
活動計画を立てる
係が決まったら、すぐに活動を始めるのではなく、まずは活動の計画と内容をしっかり考えるところからスタートします。
ここを丁寧に行うことで、係活動が長続きし、子どもたちが自分の役割に責任とやりがいを持てるようになります。
係のメンバーが集まって、
などを一つずつ考えていきます。
最初に考えがバラバラでも、お互いにアイデアを出し合うことで、「それ、いいね!」「こんなやり方もあるよ」と自然と内容が深まり、徐々に形になっていきます。
例えば、レクリエーション係なら、「月に2回クラスのみんなが楽しめるレクを開こう」「雨の日でもできる遊びをいくつか用意しておこう」など、活動の回数やタイミング、内容をできるだけ具体的に決めていくことが大切です。
このように、「思いつきで動く」のではなく、「計画を立てて動く」ことを経験することが、子どもたちにとって大きな学びになります。
係のポスターを作る
係活動を始めたら、「自分たちの係はどんな活動をしているのか」が学級のみんなにわかるように、ポスターでまとめて掲示しておくととても効果的です。
ポスターには、次のような内容を整理して書くと見やすく、わかりやすくなります。
ポスターはただ文字だけでまとめるのではなく、イラストを入れたり、色を分けたり、見出しを太くしたりすることで、みんなの目を引きやすくなり、楽しい雰囲気も伝わります。
このようにして完成したポスターを教室の壁や廊下に貼ることで、「私たちはこんな活動をしているんだ」という誇りや責任感が生まれます。
自分たちの活動が見える化されることで、子どもたち自身の意識も高まり、より積極的に取り組むようになります。
実際に活動する
ポスターが完成したら、いよいよ係活動のスタートです。
ここからは、子どもたちが自分たちで考えた計画をもとに、実際に動き出す段階になります。
実際に係活動を進めていくポイントは、①〜④の4つあります。
①学びのチャンスを生かす
最初からすべてがうまくいくわけではありません。
予定していたことができなかったり、思っていたより準備に時間がかかってしまったり、ちょっとしたトラブルが起こることもあるでしょう。
でも、それこそが大事な学びのチャンスです。
うまくいかなかったときには、「次はどうすればいいかな?」「ほかのやり方はないかな?」と、子どもたちが考え直すことができれば、それは大きな成長につながります。
②新しいアイデアや気づきを生かす
活動していくうちに、「こうやったらもっと楽しくなるかも!」「こうすれば友達も巻き込めそう!」というような新しいアイデアや気づきが生まれることもあります。
そのときには、最初の計画にこだわらず、柔軟に活動を変えたり、工夫を加えたりしていくことが大切です。
係活動は“完成された形”に合わせるものではなく、子どもたちの手で少しずつつくり上げていくものなのです。
③係活動コーナーの設置
教室あるいは廊下や学年共同スペースに「係活動コーナー」を設けると、より活動が“見える化”されて効果的です。
そこに活動予定表やポスター、お知らせ、感想カードなどを掲示しておくことで、子どもたち同士が自然と情報を共有しやすくなり、自分たちの活動に対する意識も高まります。
④先生の役目=応援するサポーター
先生の役割は、「ちゃんとやっているか?」と監視することではありません。
子どもたちの小さな挑戦や工夫を認め、そっと背中を押してあげるサポーターであることが何よりも大切です。
うまくいったことだけでなく、うまくいかなかったことにも「それもいい経験だね!」「次からどうしようか?」と声をかけてあげることで、子どもたちは安心して次の一歩を踏み出せるようになります。
ふり返りと改善をする
学期末には、係ごとにグループになって話し合いの場を設けましょう。
その中で、
などをじっくりと話し合います。
ただ反省するだけでなく、前向きに「次はこうしてみたい!」と考えることがポイントです。
ふり返りの内容は紙にまとめたり、模造紙に書いて発表したりすると、学級全体で共有しやすくなります。
また、他の係のふり返りを聞くことで、「そんなやり方があったんだ!」「自分たちにも取り入れてみたい!」といった新たな発見が生まれることもあります。
「ありがとうカード」の交換
おすすめしたいのが「ありがとうカード」の交換です。
係のメンバー同士、あるいは学級全体で「○○をしてくれてありがとう」「いつもがんばっていたね」など、感謝の気持ちを言葉にして伝え合うことで、子どもたちは達成感や喜びを実感することができます。
このような言葉のやりとりは、子どもたちの人間関係を深め、学級の雰囲気をよりあたたかくする効果もあります。

まとめ
今回は子どもたちの自主性がぐんぐん育つ係活動の指導法を丸ごと全部紹介しました。
- 子どもたちが自分で「やりたい!」と思える係を見つけられるように、先生がきっかけをつくること
- ただ役割を与えるのではなく、「どうしたらもっと楽しくなるかな?」「もっと工夫できることはないかな?」と、子ども自身が考えて動けるように声かけや環境を整えること
- 活動のふり返りや話し合いの場を取り入れて、「やって終わり」にならないようにし、次につなげる力を育てること
係活動はただの「仕事の分担」ではなく、子どもたちのやる気やアイデアが生きる、自分たちの学級をもっと楽しくするための大切な活動です。
この記事を読んだことで、子どもたちが自分から考え、自分から動き出すようになり、学級の中での役割に自信をもって取り組めるようになります。
先生の指示がなくても、子どもたちが「このクラスをもっとよくしたい」と思って工夫したり、協力したりするような、あたたかい学級が生まれるはずです。
今日からあなたも、子どもたちの自主性をぐんぐん引き出す係活動の名コーチになって、毎日の学級をもっと楽しく豊かな空間にしていきましょう!