【納得】子どもの遅刻が改善!行動を変える6つの指導法

どうも、まっつーです。
学級での朝の様子を見ていて、「また遅刻か…」「どう声をかければいいんだろう?」と、子どもの遅刻対応に悩んでいませんか?
毎朝の慌ただしい時間の中、先生として「注意しなきゃ」「でも責めすぎたくない」と、複雑な気持ちになるのは当然です。
遅刻の背景には「生活リズムの乱れ」「家庭の事情」「学校への不安」など、さまざまな要因が絡んでいることも少なくありません。
だからこそ、単なる“注意”ではなく、“寄り添いながら育てる指導”が必要なのです。
今回の記事は、子どもの遅刻が繰り返される本当の理由や、それを成長のチャンスに変える6つの指導法などをわかりやすく解説します!

この記事は以下のような人におすすめ!
- 子どもの遅刻が続いていて、どう対応すべきか悩んでいる
- 子どもの遅刻の背景を保護者と連携して改善していきたい
- 子どもが遅刻をせずに安心して登校できるようにサポートしたい
この記事を読めば、遅刻指導に対する不安や迷いが和らぎ、子ども一人ひとりの背景を理解しながら前向きに支援するための視点とスキルが身につきます!
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遅刻によって失われる6つのもの
小学生の遅刻は、たった数回程度なら「たまたま寝坊しちゃった」「少しぐらいなら大丈夫」という軽いものに見えるかもしれません。
しかし、遅刻は繰り返されることで、次のような大切な6つのものが、失われてしまうことがあるのです。
- 安心・安全な登校環境
- 不登校のきっかけになる
- 時間通りに登校することへの自信
- 学習に集中するスタートの時間
- 友達との関係づくり
- 信頼とチャンス
安心・安全な登校環境

多くの地域では、朝の登校時間帯に合わせて、交通指導員さんが通学路に立ち、見守りや旗振りの活動を行っています。また、保護者も付き添って歩くこともあります。
さらに、学校でも先生たちが校門の前に立ち、子どもたちに元気よくあいさつを交わすなど、登校を温かく見守る体制が整えられています。
しかし、これらの見守り活動は「決められた登校時間内」だけに限られていることがほとんどです。
時間を過ぎると、交通指導員さんも持ち場を離れ、先生たちも担当の教室や職員室に戻ります。
つまり、遅刻して一人で歩く子どもは、誰にも見守られず、危険と隣り合わせの状態にあるということです。
不登校のきっかけになる
最初はたった5分、10分の遅刻だったはずなのに、それが毎日のように続いていくと、「朝から登校すること」そのものが当たり前ではなくなってしまうことがあります。
人はどんなことにも「慣れ」が生まれます。「遅刻しないように気をつけよう」「今度こそ遅れないで学校に行きたい」という気持ちが薄れていき、次第に子どもは「遅れて行くくらいなら行かない方がいい」と考えるようになります。
そして、その「行かない」が1日、2日と増えれば、やがて登校しないことが習慣化され「不登校」へと変わってしまう可能性があります。
時間通りに登校することへの自信
毎朝の登校時刻に間に合わない生活を繰り返すことで、子どもは「また遅刻してしまった」「自分はダメだ」と感じやすくなります。
小学生はまだ、自分の行動をうまくコントロールできない年ごろです。
それでも、みんなが教室にそろっている中で一人遅れて入っていく経験は、子どもの心に小さな「自分責め」を積み上げていきます。
最初は「恥ずかしい」「遅刻すると注目される」だけだった気持ちが、「どうせ自分なんて」「何をやってもうまくいかない」という自己否定につながることもあります。
学習に集中するスタートの時間
朝の授業前は、心と頭を落ち着けて学習モードに入るための大事な時間です。
朝の支度、持ち物の確認、今日の予定の把握、先生や友達とのちょっとした会話などは、子どもが「今日も1日がんばろう」と前向きになるための準備運動のようなものです。
しかし、遅刻してくるとその流れに乗れません。急いで席についた頃には、すでに授業が始まっていて、気持ちがついていかないまま一時間目が終わってしまうこともあります。
すると、「どうせわからない」「やる気が出ない」となり、学力の面でも集中力や意欲を失っていく悪循環が始まってしまうのです。
友達との関係づくり
朝の教室は、子ども同士の人間関係をつくるうえで大切な時間です。登校して教室に入った瞬間から、「おはよう」とあいさつを交わし、「昨日のテレビ見た?」「今日の給食、カレーだよ!」など、子どもたちは自然と会話を始め、仲間意識が高まります。
しかし遅刻をすると、朝のあいさつができない、雑談にも混ざれないなど、気づけば“本来はいるはずの教室にいない子”として見られるようになってしまうのです。
また、授業の中でグループ活動やペア学習が行われているときに誰かが遅刻してくると、「メンバーと練習できなかった」「話し合いがうまく進まなかった」といった不満が生まれてしまうことがあります。
そうした小さな出来事の積み重ねが、友達との間にすれ違いや距離感を生み出してしまったり、「なんでいつも遅れてくるの?」という言葉が、仲間外れや無視といったトラブルのきっかけになってしまうこともあります。
信頼とチャンス
小学生のうちは、「遅刻しても、まあいいか」「今日だけだし」と流されてしまうことがあるかもしれません。
しかし、この“当たり前のように遅刻する習慣”が、大きく成長してから深刻なトラブルを引き起こすことがあります。
社会に出ると、会社や職場では「時間を守ること」が信頼につながります。朝の始業時刻に遅れることは、「責任感がない」「信用できない」と見なされ、評価が下がったり、昇進のチャンスを逃したりする原因にもなります。
また、約束の時間に遅れたり、集合時間を守らなかったりすることで、人間関係のトラブルや孤立を生むこともあるのです。
子どもが遅刻してしまう原因とは?

大切な5つのものを失ってしまいながらも、どうして遅刻を続けてしまいのでしょうか?
遅刻を繰り返す子どもたちをよく見ていると、そこには単なる怠けや気の緩みではない“背景”や“理由”が隠れていることが多いのです。
ここでは、小学生が遅刻してしまう主な6つの原因について、実際の学校現場や家庭の様子をもとにわかりやすく紹介します。
- 時間の感覚が未発達だから
- 朝の段取りがうまくできないから
- 生活リズムが乱れているから
- 朝の支援が受けられないから
- 学校に行くことがつらいから
- 病気や体調不良が原因になっているから
①時間の感覚が未発達だから
小学生の子どもは、まだまだ「何分後にこれをしよう」「この作業には何分かかる」という時間的な感覚が十分に身についていません。
「7時に起きたら、8時までに出発できる」と頭ではわかっていても、実際には着替えや食事に時間がかかったり、歯磨き中にぼーっとしてしまったりして、気づけば時間が過ぎているということがよくあります。
大人は「準備に30分くらいかかる」と感覚でわかりますが、子どもにとってはそれがまだ難しいのです。
特に学年が低いほど、時間の流れを意識して行動するようになるためには、大人の支援が必要です。
②朝の段取りがうまくできないから
朝は、起きてから出かけるまでにたくさんのやることがあります。
このように一つ一つの動作を順番にこなしていくには、自分で考えて動く力=段取り力が必要になります。
しかし、遅刻が多い子ほど、この「段取り」がうまくいかないことが多いのです。一つのことに時間をかけすぎてしまったり、何をすればいいのか途中で分からなくなったりして、結果的に出発が遅れてしまいます。
また、朝ごはんを食べながらテレビを夢中で見てしまうなど、注意が散漫になりやすい環境になっているケースも少なくありません。
③生活リズムが乱れているから
夜遅くまで起きている子どもほど、朝起きるのがつらくなり、遅刻が増える傾向があります。
とくに近年は、スマートフォンやタブレット、ゲーム機の普及によって、「寝る時間が遅くなる」「眠りが浅くなる」という子どもも増えています。
また、兄弟姉妹が多かったり、保護者の帰宅が遅かったりして、家庭の生活リズムそのものが遅くなっているケースもあります。
特に小学生は、まだ体内リズムの安定が十分ではなく、睡眠時間が不足すると心身の疲れが取れにくくなり、朝の目覚めに強く影響してしまうのです。
④朝の支援が受けられないから
保護者の方が早朝から仕事に出ていたり、病気やケガなどで体調がすぐれなかったりする場合、子どもが朝の時間に十分な支援を受けられないまま、一人で登校準備をしなければならないことがあります。
特に低学年の子どもにとって、朝の支度はまだまだ一人では難しい課題です。
「起こしてもらう」「朝ごはんを準備してもらう」「時間を意識しながら動けるように声をかけてもらう」など、大人の手助けがあることで、登校の流れがスムーズになります。
しかし、そうした支援が何もないと、準備に時間がかかってしまったり、何をすればいいか分からなくなって途中で止まってしまったりすることもあります。
⑤学校に行くことがつらいから
子どもによっては、学校での友達との関係がうまくいっていなかったり、先生との信頼関係に不安を感じていたり、あるいは家庭内の環境が不安定であったりするなど、不安やストレスを抱えていることがあります。
また、授業についていけるかどうか、失敗したらどうしようという学習面での心配が理由で、「学校に行くことそのものがつらい」と感じる状態に陥ることも少なくありません。
そうなると、朝目が覚めても体がだるくて布団から出られなかったり、登校の支度が途中で止まってしまったりして、結果的に遅刻が増えていきます。
明確な原因が見えない場合でも、「学校に行こうとするとお腹が痛くなる」「理由は分からないけれど体が重くて動けない」といった形で、子ども自身にも説明が難しい心身の反応が現れることがあります。
⑥病気や体調不良が原因になっているから
朝、子どもがなかなか起きられなかったり、「体が動かない」「つらい」と訴えたりすることがあります。
このような場合は、何らかの病気や体調の不調が原因になっている可能性もあります。たとえば「起立性調節障害」というものです。
起立性調節障害(きりつせいちょうせつしょうがい)とは、思春期ごろの子どもに多く見られる“自律神経の働きの不調”によって起こる病気のことです。とくに朝に症状が強く出やすく、次のような状態になります。
- 朝起きられない
- 頭が痛い
- 気持ち悪い
- 立ち上がるとめまいがする
- 心臓がドキドキして苦しい
- 体がだるくて動けない など
これらの症状が出るため、学校に行きたくても体が動かず、結果として遅刻や欠席が増えてしまうことがあります。
朝に起きられなかったり、遅刻を繰り返したりすると、「さぼっている」「怠けている」と思ってしまうことがあるかもしれませんが、決して本人が怠けたくて怠けているわけではありません。
午後になると少し元気になってくる子も多く、それがまた誤解を生んでしまい、周囲から「仮病じゃないの?」と疑われ、つらい思いをしている子もいます。
遅刻を減らし成長を促す指導法6選
小学校の現場では、「また遅刻…」「何度言っても変わらない」と悩む場面が少なくありません。
しかし、目指したいのは、“遅刻の回数を減らす”と同時に、子どもの中に「変わっていこう」とする気持ちを育てることです。
一人ひとりの子どもに寄り添い、できたことを見つけ、積み上げていく指導こそが「成長支援」になるのです。
ここでは、遅刻を叱るのではなく成長を促すための6つの指導法について、実際の現場で使える視点を紹介します。
- 登校時間を守る理由を考えさせる。
- 心配して待っていたことを伝える。
- 子どもの成長を見逃さない。
- 遅刻の原因を整理する。
- 改善策を一緒に考える。
- 持続できるようフォローする。
①登校時間を守る理由を考えさせる
子どもに「どうして遅刻をしないで、時間通りに登校した方が良いの?」と尋ねて考えさせると、子どもなりに一生懸命考えた答えが返ってきます。
こうした答えをしっかり受け止めながら、そこから少しずつ話を深めていき、納得させるプロセスが大切です。
「どうして一人だと危ないのかな?」「遅れるとどんな気持ちになる人がいるかな?」と問いかけを重ねることで、子どもは自分事として理解を深めていきます。
②心配して待っていたことを伝える
子どもが遅刻してきたとき、つい「どうして遅れたの?」と問い詰めたくなります。しかし、この言葉は子どもを責めるように聞こえやすく、心の扉を閉ざしてしまいます。
重要なのは「無事でよかった」「遅いから心配していたよ」という“安心と気づかい”の気持ちを先に伝えることです。
このひと言があるだけで、子どもは「自分のことを気にかけてくれていた」「自分は大切な存在なんだ」と感じることができます。
その上で、「どうして遅れたの?」とやさしく問いかけると、子どもも安心して理由を話そうという気持ちになりやすくなります。
また、なぜ心配していたのかについても、子どもが理解できる言葉で丁寧に説明してあげましょう。
こうした説明によって、「先生が怒っている」のではなく、「自分の安全を思ってくれている」というメッセージが、しっかりと伝わるようになります。
③子どもの成長を見逃さない
遅刻が続いている子にとって、時間通りに登校することは簡単ではありません。
しかし、昨日より少しでも早く来られたこと、自分で時計を見て準備できたことなど、小さな変化を見つけて言葉にしてあげることが、子どもを大きく動かします。
こうした前向きな声かけの積み重ねが、子どもの心に「認められた経験」として蓄積されていきます。
そして、「次はもっとがんばろう」「明日は間に合いたい」という内側からの意欲につながっていくのです。
④遅刻の原因を整理する
遅刻が続く子の中には、原因はあるけどうまく説明できない子がたくさんいます。
そこで大切なのが、一緒に遅刻の原因を整理する時間をつくることです。
このように、子ども自身の生活リズムや気持ちを一緒に言語化していくことで、“自分を客観視する力”が育っていきます。
話す中で、子ども自身が「そうか、自分が遅刻をする原因はこうだったんだ」と気づいていく時間こそが、変化の出発点になります。
⑤改善策を一緒に考える
遅刻の原因がわかってきたら、次は改善のためのできそうなことを一緒に考えます。
このとき、「大きな目標」ではなく、「今日からできる小さな工夫」にすることがポイントです。
こうしたアイデアを先生がいくつか提案したり、子どもから出てきた案を一緒に整理することで、子ども自身の中に「自分でやってみよう」という気持ちが芽生えます。
内容によっては、家庭でのサポートが欠かせないものもあります。
そうした場合には、連絡帳でお知らせしたり、必要に応じて電話で直接お伝えしたりするなどして、保護者の方に丁寧に協力をお願いするようにしましょう。
⑥持続できるようフォローする
たとえ遅刻の改善に向けた前向きな変化が見えはじめても、子どもはちょっとしたきっかけで元の状態に戻ってしまうこともあります。
子どもにとって変わるということは、とてもエネルギーのいることです。だからこそ、一度の成功や失敗で判断せず、定期的にフォローすることが必要になります。
「最近、朝どう?」「困っていることはない?」といったさりげない声かけを日常の中で続けていくようにしましょう。
先生と子どもとの間で「うまくいかなかったことを一緒に見直せる関係」を築いていくことが、一時的な変化ではなく、長期的な成長につながる鍵になります。
保護者との信頼関係がカギになる
小学生の遅刻を本気で減らしたいと考えたとき、学校だけの力では限界があります。
もちろん、先生としてできる支援や声かけはたくさんありますが、朝の生活習慣を整えるには、どうしても家庭での協力が必要不可欠です。
「早寝・早起き・朝ごはん」をお便りや保護者会、個人面談などで何度も伝えたり、「遅刻する場合は、必ず学校へ連絡をしてください」「保護者も付き添って登校してください」とお願いしていますが、現実にはうまくいかないこともあります。
「分かっていてもできない」「わかっていないふりをしてしまう」という保護者の方も、決して少なくありません。
保護者が協力できない理由を知る
ここで重要なのは、「協力してくれない=無関心」ではないということです。保護者の方も日々、必死に暮らしています。
事情は家庭によってさまざまであり、保護者を一方的に責めることで状況が改善することはありません。
むしろ、関係が悪化し、子どもへの対応も難しくなってしまう可能性があります。
保護者に協力を要請する3ステップ
そこで、保護者にあたたかく協力をお願いするための3つのステップをご紹介します。
子どもの遅刻を改善していくためには、まず保護者に現状を知ってもらい、それを一緒に「問題として共有する」ことが改善に向けたスタート地点になります。
単に「最近、遅刻が多いですね」「遅刻が◯回目ですよ」と事実だけを伝えても、保護者の心には響きにくいことがあります。
だからこそ、「最近、朝の様子はいかがですか?」「ご家庭で何かお困りのことはありますか?」という寄り添う姿勢が、対話のきっかけになります。
そのように声をかけることで、「実は朝の支度が遅くて…」「夜、なかなか寝つけずに、朝が起きられないんです」といった、保護者側の思いや悩みを引き出すことができます。
前述したように、子どもへの対応と同じく、遅刻の改善のためのできそうなことを一緒に考えます。
保護者には「遅刻をしないようにするために、ご家庭でできそうなことはありますか?」と問いかけ、無理のない範囲で実践できそうなアイデアを引き出していきます。
そのうえで、先生の立場からも「こんなことならご負担少なくできるかもしれません」と、具体的な提案をすることが効果的です。
あわせて、学校では子どもに対してどのような声かけや支援を行っていくのかを丁寧に伝えることも必要です。
改善策を続けていく中で、子どもに少しずつ前向きな変化が見られるようになります。
たとえば、「前よりも5分早く起きられるようになったよ」「朝はバタバタしてたけど、夜のうちに準備をするようになったんだ」といった子ども自身の声が聞こえてきたり、遅刻の時間が少しずつ早まってくるような変化が見えてきたりすることもあります。
こうした変化が現れたときこそ、保護者への感謝と報告の連絡がとても大切です。
「ご家庭でのご協力、ありがとうございます」「今日はいつもより○分早く登校できましたよ」といった言葉を届けることで、保護者も“やってよかった”という実感を得られ、今後の協力にもつながります。
子どもの変化を一緒に喜び、認め合うことで、家庭と学校のあたたかいつながりが深まっていくのです。
保護者に問題意識を持ってもらえない場合は?
保護者の中には、子どもが遅刻しているという事実を伝えても、「だからどうしたんですか?」「5分や10分くらい遅れても、別に構わないでしょ?」といった反応をされる方もいます。
このような声から見えてくるのは、遅刻そのものをそれほど深刻な問題とは受け止めていないという現状です。
そこで、私たちが保護者にしっかりと伝えなければならないのは、遅刻そのものよりも、“遅刻によって生まれる本当のリスク”です。
また、子どもが一人で登校したことによって、実際に事故や事件に巻き込まれたケースもあります。
多くの学校で新学期が始まったが、先月末に千葉県松戸市で、小学校へ登校途中の女児が殺害された事件はまだ解決しておらず、不安な気持ちを抱えている保護者も多い。女児の通っていた学校では集団登校は行われておらず、女児も一人で登校していたという。(後略)
これは決して他人事ではありません。つまり、遅刻して一人で登校する時間帯こそが、もっとも危険な時間だということを、電話だけでなく個人面談や保護者会などのさまざまな場面を通じて保護者に知ってもらうことが重要なのです。
朝の電話が保護者の意識を変える
子どもが遅刻している際、保護者にその深刻さを伝えるには、朝の時間帯に電話をかけるのが最も効果的です。
朝の慌ただしい中で電話を受けることで、保護者も「これはただ事ではない」と感じ、遅刻の問題を“時間のズレ”ではなく“子どもの安全”として受け止めやすくなります。
以下は、実際の電話の流れの一例です。言葉や順序は状況に応じて調整しながら、危機感と緊迫感を持って伝えることがポイントです。
先生:「もしもし、○○さんのお母様でいらっしゃいますか?」
保護者:「はい、そうです。」
先生:「○○さんがまだ登校していないのですが、何かありましたでしょうか?」
保護者:「朝寝坊したようで、今家を出たところです。」
先生:「そうでしたか。ご連絡ありがとうございます。では、無事に学校に着くまで、状況を確認させていただきます。」
~○○さんが学校に到着~
先生:「たった今、○○さんが無事に学校に着きました。何事もなく到着できて本当によかったです。」
「実は、お子さんが遅刻して一人で登校する時間帯というのは、交通指導員さんや付き添いの保護者の方、校門に立つ教職員などがすでに持ち場を離れていることが多く、大人の目が行き届きにくくなる時間帯です。そして実際に、子どもが犯罪に巻き込まれるケースの多くは“一人でいるとき”に起きています。また、朝の通学路は交通量が多く、子どもが遅刻を気にして慌てて走ってしまうと、思わぬ事故につながる危険もあります。そのため、たとえ数分の遅刻であっても、登校が遅れる場合には学校にご連絡いただくとともに、保護者の方が一緒に付き添って登校していただけると、安全面からも大変ありがたいです。お子さんの命と安心を守るために、どうかご理解とご協力をお願いいたします。」
このように、“時間の問題”ではなく“命の問題”として伝えることで、保護者の危機管理意識は大きく変わります。
まとめ
今回は子どもの遅刻が繰り返される本当の理由や、それを成長のチャンスに変える6つの指導法などについて紹介しました。
- 子どもの遅刻の背景には、「怠け」ではなく、時間感覚の未発達・生活リズムの乱れ・家庭環境・心身の不調など、さまざまな理由があるということ
- 叱るだけではなく、子どもや保護者と一緒に原因を探り、「どうすれば変われるか」を対話的に考えていくことが大切だということ
- 一度でうまくいかなくても、「少し早く来られたね」「今日は準備できたね」と、小さな成長を見逃さずに声をかけ続けることが、次の一歩につながるということ
この記事を読んだことで、子どもの遅刻を「ただの時間のズレ」としてではなく、子ども自身が変わっていく“きっかけ”にできる指導の視点が持てるようになったのではないでしょうか。
「また遅刻か」と思ったときこそ、その子の中で何が起きているのかに目を向けてみてください。遅刻は、子どものSOSかもしれません。
保護者と協力しながら、一人ひとりに合った支援を工夫していくことが、長い目で見た学びの支えになります。
今日よりも明日、少しでも早く登校できたという“確かな一歩”を見つけて、「できたね」「よくがんばったね」と伝えていきましょう。