教育

【衝撃】学校でスポーツドリンクが禁止の理由とは?

学校でスポーツドリンクが禁止の理由とは?
まっつー

暑い日が続くと、「水筒にスポーツドリンクを入れて持たせたい!」という保護者の声をよく耳にします。

特に熱中症が心配な夏場は、「水やお茶だけでは心配…」「子どもが飲みやすいものを入れたい」という気持ち、すごくよくわかります。

しかし、実際には多くの学校でスポーツドリンクの持ち込みが禁止されているのが現状です。

ラズリ
ラズリ

なんで?スポーツドリンクは体に良さそうなのに、どうして禁止しているのか教えてほしい。

今回の記事は、学校がスポーツドリンクを禁止している本当の理由をわかりやすく解説します!

まっつー
まっつー

この記事は以下のような人におすすめ!

  • スポーツドリンクの持参を許可するか迷っている
  • 保護者から理由を聞かれたときに、しっかり説明したい
  • 子どもの健康や学校生活のルールを理解したい

この記事を読めば、「なぜスポーツドリンクがダメなのか?」という理由がスッと理解できて、教育的にも医学的にも納得のいく対応ができるようになります。

この記事を書いた人↓

まっつー
まっつー
管理人
Profile
【経歴】
・19年間小学校で正規教員として勤務
・退職→無職
・現在はサイトの記事を執筆・発信中

【資格】
・小学校教諭二種免許状(全科)
・中学校教諭一種免許状(社会)
・高等学校教諭一種免許状(地理歴史)
・高等学校教諭一種免許状(公民)

スポーツドリンクとは何か?

スポーツドリンクを飲む
スポーツドリンク

スポーツドリンクとは、運動などで汗をかいたときに、体の中から失われた水分や塩分、エネルギー(糖分)を効率よく補うために作られた飲み物のことです。

人は汗をかくと、水分だけでなく、体にとって大切な「ナトリウム(塩分)」や「カリウム」などの成分も一緒に出ていきます。

これが続くと、体の調子が悪くなったり、熱中症になるリスクが高まったりします。

そうしたときに、スポーツドリンクを飲むと、水分だけでなく、失われた塩分や糖分もすばやく体に取り入れることができるようになっています。

特に、気温の高い日に野外で長時間活動した後や、大量に汗をかいたときは、スポーツドリンクを少しずつ飲むことで、脱水症状や熱中症を予防する効果が期待できます

ラズリ
ラズリ

やっぱりスポーツドリンクは体に良い飲み物なんだね。これからは毎日水筒に入れて、学校に持っていこうっと!

まっつー
まっつー

ちょっと待って!多くの学校では「水筒の中身については、水またはノンカフェインの麦茶やお茶のみで、スポーツドリンクを入れないでください」って通知を出しているはずだよ。

学校では、熱中症の心配になる夏以外にも、1年を通して水筒の持ち込みを許可をしている学校がコロナ禍をきっかけに増え、水分補給を推奨しています。

たしかに、スポーツドリンクは汗をかいたときの水分補給に効果的ですが、実は“普段から飲み続けることによるリスク”もあるのです。

  1. 過剰な糖分(砂糖)の摂取
  2. 歯に悪い(酸蝕症や虫歯)
  3. 金属製の水筒は要注意

これら①〜③のリスクについて、詳しく説明していきます。

①過剰な糖分(砂糖)の摂取

スティックシュガー

スポーツドリンクのペットボトルに書かれている100mLあたりの栄養成分表示の「炭水化物」のところに注目してみてください。

飲み物の炭水化物とは、ほとんど「砂糖(糖分)」のことです。

飲み物の炭水化物 = 砂糖(糖分)

様々なスポーツドリンクの栄養成分表示を見ると、100mLあたりの栄養成分である炭水化物が約4g〜7g程度になっています。

この炭水化物が5gだと仮定して計算すると、以下のようになります。

  • 100mLあたりの栄養成分が炭水化物 5g = 砂糖5g
  • 500mLのペットボトル = 5g×5 = 25g(スティックシュガー8本分以上)
  • 1Lのペットボトル = 5g×10 = 50g(スティックシュガー16本分以上)

※スティックシュガー1本分 = 砂糖3g

一日の砂糖の摂取量の目安(2015年にWHOが定めた数値)は25gなので、500mLのペットボトル1本分のスポーツドリンクを飲んだだけで一日の砂糖の摂取量に達してしまいます。

1Lの水筒いっぱいにスポーツドリンクが入っていた場合は、一日の摂取量の2倍にもなります。

スポーツドリンクのがぶ飲みも要注意

スポーツドリンクを一気にたくさん飲む“がぶ飲み”は、とても危険です。

なぜなら、大量の糖分が短時間で体に入ることで、血糖値(血液中の糖の量)が急激に上昇してしまうからです。

こうした状態が繰り返されると、体が疲れやすくなったり、集中力が落ちたり、将来的に肥満や生活習慣病のリスクが高まるリスクがあります。

ペットボトル症候群(正式名:清涼飲料水ケトーシス)

清涼飲料水ケトーシス

ペットボトル症候群(正式名:清涼飲料水ケトーシス)とは、スポーツドリンクや炭酸飲料、ジュースなど、ペットボトルに入った糖分の多い清涼飲料水を毎日のように大量に飲み続けることで起きる病気のことです。

症状としては、血糖値が異常に高くなり、強いのどの渇き、だるさ、吐き気、急激な体重減少、ひどい場合には意識障害を起こすこともあります

ペットボトル症候群は、大人だけでなく、子どもや思春期の学生にも発症例があるため、決して油断はできません。

スポーツドリンクは、運動後や熱中症の恐れがある場面で一時的に使うには効果的ですが、日常的に飲ませるものではありません。

特に学校生活では、水やノンカフェインのお茶を基本とし、スポーツドリンクは「必要なときだけ」にとどめることが大切です。

②歯に悪い(酸蝕症や虫歯)

歯牙酸蝕症

スポーツドリンクが酸性の飲み物です。多くの市販スポーツドリンクのpH値は3〜4程度であり、これは歯が溶け始めると言われるpH5.5よりもずっと低い数値です。

つまり、スポーツドリンクを飲むたびに、口の中が酸性に傾き、歯の表面(エナメル質)が少しずつ溶かされていく「酸蝕(さんしょく)」という現象が起きてしまうのです。

酸蝕症

酸蝕症(さんしょくしょう)とは、すっぱい飲み物や食べ物にふくまれる“酸”で歯の表面が溶かされ、内側のやわらかい部分が出てしまい、歯がすりへったり、しみたりする病気のことです。

唾液が歯を守っているけれど…

私たちの口の中には、常に唾液が分泌されていて、食べ物や飲み物による酸を中和したり、歯を修復(再石灰化)したりする働きがあります。

しかし、スポーツドリンクをちょこちょこ飲む、あるいはダラダラ飲むと、口の中が長時間酸性の状態になり、唾液による中和や修復が間に合わなくなってしまうのです。

この状態が続くと、エナメル質がどんどん薄くなり、知覚過敏や虫歯、歯の変色などの原因になります。

特に小学生は、乳歯や生えたばかりの永久歯が多く、エナメル質がやわらかくて未成熟です。

そのため、大人以上に酸の影響を受けやすく、歯がすぐにダメージを受けてしまいます。

糖分が虫歯菌のエサになる

前述の通り、スポーツドリンクには多くの糖分が含まれています。

この糖分は、口の中にいる「ミュータンス菌(虫歯菌)」の大好物です。

糖分をエサにして、菌は酸を作り出し、それが歯を溶かして虫歯の原因になるのです。

つまり、スポーツドリンクは、

  • 飲み物そのものが酸性
  • 虫歯菌にエサを与える糖分もたっぷり

という、ダブルで歯にとって過酷な条件を作ってしまう飲み物なのです。

このような理由からも、日常的な水分補給には、糖分や酸を含まず、口の中と同じ中性の飲み物である「水」や「ノンカフェインのお茶」が適しています。

③金属製の水筒は注意!?

水筒

以前は、スポーツドリンクなどの酸性の飲み物を、ステンレス製の水筒に長時間入れておくと金属が溶け出すことがあり、中毒を起こしてしまう危険性がありました。

しかし、近年では金属製の水筒であっても内部にコーティングが施されている製品が出てきているので、スポーツドリンクを入れたからといって、金属が溶け出すことは少なくなってきています。

注意!

水筒の内部に傷があったりサビついていたりすれば、金属が溶け出す可能性がゼロとは言えません。たとえば、使用後に洗わずに長時間放置していた場合や、金属製の目の粗いたわしなどで強くこすり洗いをした場合、あるいは長年使い続けて内側のコーティングが劣化しているような場合などです。

また、そもそもスポーツドリンクが非対応の水筒だったり、商品のWEBサイトや取扱説明書を確認せずに使用したりしている場合は、注意が必要です。

「プラスチックや専用ボトル」ならOK?

ラズリ
ラズリ

じゃあ、プラスチックの水筒なら大丈夫だよね?

確かに、プラスチック製のボトルなら金属が使われていないため、腐食の心配は全くありません。ただし、以下のようなデメリットがあるので要注意です!

  • 保冷力が弱い
  • 菌が繁殖しやすい
  • においがつきやすい
  • 壊れやすい

学校生活の大半は“座って学ぶ時間”

座学

学校の時間割を見ると、1日のほとんどは教室内での授業、つまり座学(座って学ぶ授業)です。

文部科学省が定める標準授業時数によれば、1週間における体育の授業時間は学年によって異なりますが、おおよそ2〜3コマ(1コマ=小学校は45分、中学・高校は50分)程度です。

つまり、体育の授業による運動によって汗をかく時間は、1週間のうちわずか2〜3時間程度。それ以外の時間は教室で座って授業を受けていることがほとんどです。

また、教室や体育館にはエアコンや扇風機などの冷房設備が整えられている学校も多く、体温の上昇や過度な発汗が起きにくい環境になってきています。

このように、学校生活の中心が「座って学ぶ活動」である以上、日常的にスポーツドリンクを飲む必要はほとんどないというのが実態です。

注意!

休み時間に校庭で活発に走り回ったり、放課後に運動系のクラブ活動や部活動に参加していたりする子どもたちは、運動量が増える分、発汗の機会も多くなります。

飲みたいときは必要な場面で

学校によっては、保護者の強い要望などを受けて、スポーツドリンクの持参を一部許可しているところもあります。

しかし、そのような場合であっても、「いつでも自由に飲ませる」ではなく、「場面を選んで適切に飲む」ことがとても重要です。

たとえば、以下のような状況では、一時的な対応としてスポーツドリンクを取り入れるのが効果的です。

  • 熱中症のリスクが高い猛暑日や炎天下の屋外活動(例:運動会、校外学習)
  • 長時間にわたる激しい運動や持久走などの体育授業
  • 屋外でのクラブ活動や部活動、試合などで大量の汗をかいたとき

ただし、これらの場面でも注意すべきなのは、飲ませ方や量、持たせ方の工夫です。

  • スポーツドリンクを「がぶ飲み」ではなく「少しずつ飲む」よう指導する
  • 水またはお茶とスポーツドリンクを両方持参させる(2本の水筒を使い分ける)
  • スポーツドリンクを凍らせて保冷用にし、溶けた後に飲むようにする(短時間の摂取にとどめる)

このように、「いつ飲むか?」「どのくらい飲むか?」「他の水分とどう使い分けるか?」といった工夫をすることで、糖分や酸による健康リスクを減らしつつ、脱水や熱中症の予防にもつなげることができます。

まとめ

今回は学校がスポーツドリンクを禁止している本当の理由について紹介しました。

3つのポイント
  • スポーツドリンクには多くの糖分や酸が含まれており、虫歯や酸蝕症、生活習慣病のリスクがあること
  • 学校生活の大半は屋内での座学中心であり、日常的にスポーツドリンクを必要とする環境ではないこと
  • 金属製やプラスチック製の水筒の取り扱いに注意すること

「スポーツドリンク=体に良いもの」と思っている方も多いですが、それは“運動後の一時的な補給”という条件つきの話です。

学校生活では、水やノンカフェインのお茶が最も安全で安心な水分補給となります。

この記事を読んだことで、「どうして学校ではスポーツドリンクがダメなの?」と聞かれても、根拠をもって丁寧に説明できる力がついたと思います。

スポーツドリンクを完全に否定する意図は全くありません。必要な場面で、適切に使い分けることが大事なのです。

これからの季節、特に暑さが増す中での水分補給はとても重要ですから、正しい知識をもとに子どもたちを健康を守っていくことが求められるのです。

まっつー
まっつー

この記事を読んでくださり、ありがとうございました。

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