教育

【伝授】整列が上手に!並ぶのが得意になる学級指導の10の工夫

整列が上手に!並ぶのが得意になる学級指導の10の工夫
まっつー

どうも、まっつーです。

子どもたちが学校で整列する場面は意外と多いものです。そのたびに「はい、みんな並んでー!」と大きな声をかける先生も多いかもしれません。

しかし、実際には「なんだか並ぶのに時間がかかる」「並んだ後も騒がしくて落ち着かない」「整列が崩れやすい」など、困ることがあるのではないでしょうか?

実は、整列の指導がうまくいかない原因に、「整列する目的が子どもに伝わっていない」「子どもが意味がわからないまま、腕を伸ばして“前へ習え”をしている」という点があるんです。

今回の記事は、学級で整列する5つの目的を理解させ、子どもたちが自主的に並べるようになる指導法(6つのポイント+4つのステップ)をわかりやすく解説します!

まっつー
まっつー

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 整列のたびに子どもたちがバラバラになって悩んでいる
  • 子どもたちが「整列は面倒」と感じているときに、やる気を引き出したい
  • 体育や集会の場面で、スムーズに整列させたい
  • 並んでいる間に静かにできるようにしたい

この記事を読めば、整列がただの「並ぶ作業」から集団生活を安全に送るための意味があるものだという認識に変わり、子どもたちが納得して動ける整列指導ができるようになります。

この記事を書いた人↓

まっつー
まっつー
管理人
Profile
【経歴】
・19年間小学校で正規教員として勤務
・退職→無職
・現在はサイトの記事を執筆・発信中

【資格】
・小学校教諭二種免許状(全科)
・中学校教諭一種免許状(社会)
・高等学校教諭一種免許状(地理歴史)
・高等学校教諭一種免許状(公民)

整列する目的とは何か?

整列

整列とは、一定のルールに従って、子どもたちが真っ直ぐに順序よく並ぶことをいいます。学校では、次のような場面で整列が求められます。

  • 登下校(登校班)
  • 全校朝会・集会
  • 教室から特別教室などへ移動する時
  • 体育の授業
  • 運動会
  • 健康診断
  • 遠足
  • 社会科見学(生活科見学)
  • 宿泊行事(修学旅行) など

また、次のような整列の仕方があります。

  • 学級1列(背の順で男女サンドイッチ)
  • 学級2列(男女別名前順)…男子名前順で1列・女子名前順で1列
  • 学級2列(男女別背の順)…男子背の順で1列・女子背の順で1列
  • 学級2列(男女混合背の順)
  • 学級2列(赤組1列・白組1列)
  • 学級4列(赤組2列・白組2列)…男子赤組1列・男子白組1列・女子赤組1列・女子白組1列
  • 生活班で整列
  • 体育のチームごとに整列
  • 縦割り班で整列
  • 登校班で整列 など

他にも、給食の配膳や図書室での本の貸出・返却、先生にプリントを採点してもらう時、ノートやワークシートなどを提出する時、トイレが混雑している時など、さまざまな場面で1列に並ぶことがあります。

ラズリ
ラズリ

学校では整列する場面やその仕方がこんなに多いんだね。そもそも何のために整列をする必要があるの?

まっつー
まっつー

学校では子どもたちが集団生活を送っているからこそ、整列が必要なんだ。整列には次の5つの大切な目的があるんだよ。

  1. 安全確保のため
  2. 人数確認のため
  3. 他者への配慮のため
  4. 混乱を防いで秩序を保つため
  5. 礼儀とマナーを身につけるため

①〜⑤までの整列の目的について、詳しく説明します。

①安全確保のため

たとえば、避難訓練では、すばやく安全に避難することが最も重要な目標です。そのためには、子どもたちが混乱せずに整然と並ぶことが必要です。

もしバラバラに走り出してしまうと、転倒や衝突のリスクが高まり、かえって危険です。

また、校外学習などで車や自転車が通る道を歩く場合も、広がって歩いてしまうと交通事故の危険が増します。

整列することで、先生も全員の位置や状態を一目で把握でき、安全を確保しやすくなります。

子どもたちが安心して学び、遊べる環境を作るために、整列は欠かせない要素なのです。

②人数確認のため

たとえば、避難訓練の際には、先生が全員が避難できたかを瞬時に確認する必要があります。

もし一人でも欠けている場合、その子が教室に取り残されていないか迅速に判断し、救出に向かわなければなりません。

また、校外学習などでは、子どもたちが迷子になっていないか確認するために、全員の人数を把握することが求められます。

もし整列が不十分だと、誰がどこにいるのかがすぐにわからなくなり、危険な状況に陥る可能性があります。

並ぶことは、教員にとっても、子どもたちの安全を守る大切な確認手段なのです。

③他人への配慮のため

たとえば、廊下や校外の道で広がって歩くと、反対側から来る人や後ろから歩いてくる人の通行を妨げてしまいます。

こうした状況は、他の人に迷惑をかけるだけでなく、トラブルや事故の原因にもなりかねません。

整列して歩行することで、周囲の人への配慮を自然に身につけることができます。

これは、自分だけでなく他者の安全も守る大切な習慣です。

④混乱を防いで秩序を保つため

学校など多くの人が集まる場所や限られたスペースでの行動には、整然とした動きが求められます。

無秩序な状態では、衝突や行き違いが発生しやすく、活動が遅れたり、安全が確保できなくなったりするリスクがありからです。

たとえば、体育館での集会や避難訓練、給食の配膳など、多数の子どもたちが一斉に動く場面では、整列ができていないと誰がどこに並ぶべきかがわからず、混乱が生じやすくなります。

整列することで、動く順番や進む方向が明確になり、子どもたちは安心して行動できるようになります。

⑤礼儀とマナーを身につけるため

整列の経験を通して、他人を押さない、割り込まない、大声で騒がないといった基本的な心構えが自然と身につきます。

これは、学校生活だけでなく、社会生活でも必要なコミュニケーションスキルあり、他人への礼儀や集団でのルールを守る態度を育む基盤となります。

たとえば、遊園地でアトラクションに乗る時や、人気の飲食店で順番待ちをする時、駅のホームで電車を待つ時など、並ぶ場面は日常生活のさまざまな場面で見られます。

こうした場面でも順番を守り、きちんと列を作って静か待つという行動は、公共の場でのマナーとして非常に大切です。

自主的に整列するようになる6つの指導ポイント

学校では、集団生活を送る上で整列が必要な場面が数多くあります。

しかし、その都度「整列するのが面倒だ」「何のために整列するのかわからない」と感じてしまう子どもたちが多いと、混乱やトラブルの原因となり、学級経営が難しくなってしまいます。

これを防ぐためには、整列指導で行うべき6つのポイントがおさえることが大切です。

  1. 整列する目的を伝える。
  2. 避難訓練での整列の仕方から教える。
  3. 真っ直ぐのラインを活用する。
  4. 整列の基本姿勢を教える。
  5. できているところを褒める。
  6. さまざまな場面で評価を伝える。

①〜⑥までの6つの整列指導のポイントを、詳しく説明します。

①整列する目的を伝える

整列を教える際は、「何のために整列する必要があるのか?」という目的を最初にしっかりと伝えることが大切です。

これは、子どもたちが「先生に言われたからやる」から「目的を理解して自分から動く」という意識に変わるための重要なステップです。

前述した整列する5つの目的を丁寧に話すようにしましょう。特に安全面や自分の身を守るためであることを強調することが効果的です。

しかし、これが不明確なままだと、「なんで整列しなければいけないの?」「バラバラでも困ることがないよ」と不満が大きくなり、整列への意欲が低下してしまいので注意しましょう。

②避難訓練での整列の仕方から教える

整列の基本を教える際に、最初に取り入れたいのが避難訓練での整列指導です。

これは、整列の重要性を子どもたちが最も実感しやすい場面であり、命を守る行動と直結しているため、非常に効果的です。

学校によっては背の順で2列(男女別または男女混合)で並ぶ形式を採用している場合がありますが、この2列での整列を徹底して指導することが、他の並び方(名前順の1列や赤白2列、4列など)にも応用が利くようになります。

避難訓練は年に数回しかありませんが、日常の整列がその練習にもなっていることを強調することで、整列が自分事として真剣に捉えられるようになります。

まっつー
まっつー

普段から整列する習慣を身につけておくと、いざという時に慌てず素早く行動できるようになります。

③真っ直ぐのラインを活用する

真っ直ぐに並ぶ感覚を身につけるために、体育館などのラインを活用するのが効果的です。

体育館の床には、バスケットボールやバレーボールのコートラインが引かれており、これらを使うと自然に真っ直ぐに並ぶ感覚を身につけやすくなります。

このとき、「どうして真っ直ぐ並ぶ必要があるのか?」と質問して考えさせると、子どもたちから「全校朝会や集会のときに、隣のクラスとぶつかってしまう」「外を整列して歩いているときに、列が斜めになっていると反対側から来た人とぶつかってしまう」といった具体的な意見が出ることがあります。

真っ直ぐに並ぶことは、自分だけでなく、周囲の人の安全も守ることにつながります。

④整列の基本姿勢を教える

整列を教える際には、基本的な姿勢や動作を具体的に教えることが大切です。次の3つの基本姿勢をしっかりと指導しましょう。

  • 気をつけ…直立姿勢で両かかとをつけ、つま先を自然に開く。両腕は体側にそって肘を伸ばして下ろす。手は指をそろえて軽く伸ばし、手のひらを体側(指は中指をズボンの縫い目)に合わせる。あごを軽く引き、正面をまっすぐに見る。※緊張を伴いやすい姿勢なので、あまり長時間「気をつけ」の姿勢をとらせないようにしましょう。
  • 前へ習え…前の人の肩の位置まで腕を上げ、指先までしっかりと伸ばす。伸ばした腕の指先から前の人の背中までこぶし1個分。隣の人とも位置を揃えるように意識させると、より整然とした整列が可能です。
  • 直れ…気をつけの姿勢に戻る。
注意!

避難訓練の際には、2列で並んで「前へならえ」をしたときに、隣の人と位置を揃えることも強調して指導しましょう。子どもたちに「どうして列の前の人を見て真っ直ぐ並ぶだけでなく、隣の人と位置を揃える必要があるのだろう?」と質問して考えさせると効果的です。理由として、「1人ずつ数えるよりも、2人ずつ数えた方が早く人数確認ができるから」というポイントを伝えると、子どもたちは納得しやすくなります。

先生が手を上下に動かすジェスチャーをしながら、数をカウントするタイミングで、子どもたちに2人ずつ座るように指示しましょう。これにより、リズムよく素早く座ることができ、人数確認がスムーズに進みます。

⑤できているところを積極的に褒める

当然ながら、整列そのものは楽しい活動ではありません。そのため、指導の際には「できている部分を積極的に褒める」ことが大切です。

成功体験として価値づけることで、子どもたちのやる気や自信を引き出し、整列への意識が高まります。

その上で、修正すべきポイントは絞って、具体的でわかりやすいアドバイスをするように心がけましょう。

また、子どもたちが飽きずに集中力を保つために、できるだけ短時間で達成感を感じられるように配慮することで、整列に対する肯定的な態度を育むことができます。

⑥さまざまな場面で評価を伝える

全校朝会や避難訓練、遠足などの実際の場面でも、整列がうまくできていたことをたくさん褒めましょう。

「きちんと整列ができていたので、低学年のお手本になっていたよ」「すばやく整列ができたから、みんな安全に避難できたね」と具体的な状況に基づいて評価することで、整列が重要な行動であることを日常的に意識させることができます。

一方で、修正が必要な場合は、「前を見ずに後ろの人に気を取られていると、列が乱れてしまって他のクラスの列とぶつかってしまうことがあるよ」と、実際に起こりうる場面を示しながら指導すると効果的です。

良い点と改善点を伝えることで、子どもたちは自分の動きを振り返りやすくなり、整列の重要性をより深く理解することができます。

整列を進化させる指導の4ステップ

前へ習え(整列)

子どもたちを整列させる際に、先生が毎回「気をつけ」「前へ習え」「直れ」と指示を出している場面はよく見られます。

しかし、その指示が本当に必要なのでしょうか?

  • 目的…子どもたちが整列すること
  • 手段…「気をつけ」「前へ習え」「直れ」の動作をすること

つまり、「整列」という本来の目的を忘れずに、その手段にとらわれすぎないようにすることが大切です。

理想的なのは、「気をつけ」「前へ習え」「直れ」をしなくても、子どもたちが自然と整列できるようになることです。

ラズリ
ラズリ

特に「前へ習え」で腕を伸ばすのが嫌なんだ。先生が「直れ」って言うまで、ずっと手を伸ばしてなきゃいけないから、けっこう疲れるんだよね。

まっつー
まっつー

そもそも、整列する時にどうして腕を伸ばす必要があるのでしょうか?

行列ができているお店に並ぶ時も、駅のホームで電車を待っている時も、腕を伸ばす動作をする人を見たことがないと思います。

その答えは、「自分の腕を伸ばした時に、前の人とぶつからない間隔を空けるようにするため」です。

このことを踏まえて、子どもたちが「気をつけ」「前へ習え」「直れ」をしなくても、自分たちで整列できるように進化させる指導の4ステップを解説します。

STEP1(整列レベル1)

「気を付け」「前へ習え」「直れ」で整列できる

整列を進化させるためには、先生の指示があって整列できることが前提です。

前述の「自主的に整列するようになる6つの指導ポイント」をもとに、子どもたちを育てていきましょう。

やがて、子どもたちは「自分の腕の長さがどのくらいあるのか(量感)」がわかるようになってきます。

つまり、実際に腕を伸ばさなくても、前の人との適切な距離感を感覚的に理解し、ぶつからずに並べるようになるのです。

STEP2(整列レベル2)

「気を付け」「“目”で前へ習え」「直れ」で整列できる

「“目”で前へ習え」とは、腕で前の人との距離を測るのではなく、目で見て量感を使って自分の腕の長さとほぼ同じ間隔を空けて並ぶことを意味します。つまり、目測です。

先生が「腕を伸ばして整列できるようになったね。じゃあ、次のレベル2に進んで、目で見て前の人との間隔を空けられるようにチャレンジしてみよう!」と言うと、子どもたちは意欲的に取り組んでくれます。

腕を伸ばす手間や疲れもないので、みんな大喜びです。

STEP3(整列レベル3)

「並びましょう」の一言で整列できる

先生の「並びましょう」の指示で、子どもたち一人ひとりが自分のペースで「気を付け」「“目”で前へ習え」「直れ」をします。

このレベルに達していれば、先生として言うことはほとんどありませんが、少し列が乱れている場合は修正するように促します。

STEP4(整列レベルMAX)

子どもたちが自主的に整列できる

全校朝会や社会科見学、健康診断などの場面で整列することがありますが、高学年(中学年でも)になれば、先生がいちいち「並びましょう」と言わなくても、子どもたち同士で協力して整列できるようになります。

これまでに名前順や背の順、赤白順など、さまざまな並び方を経験してきているため、状況に応じて臨機応変に対応する力が身についています。

また、列の先頭の子や一番後ろの子など、要所要所にいる子どもたちが「少し列が曲がっているよ」「もうちょっと前に詰めて」と声をかけ合いながら、自然に修正していく場面も見られます。

自分たちで考え、動く力が備わっている状態が、整列レベルMAXです。

注意!

1年生の頃から「気を付け」「前へ習え」「直れ」の動作を入れて整列をしているのに、6年生になっても相変わらずに同じ動作をして整列しているということは、全く育っていないことになってしまいます。整列のレベルを少しずつ上げていくことが大切です。

「レベル2にするよ」と伝えた時に、子どもたちから「レベルいくつまであるの?」と質問されることがあるかもしれません。

その際は、レベル3やレベルMAX(整列の最終目標)まで具体的に説明してあげましょう。

子どもたちは、レベルが上がるごとに達成感を感じながら、より早く、より楽しく整列するようになります。

また、学級の実態に応じて、レベルをもっと細かく設定するのも効果的です。

一歩ずつ成長を実感できるような段階的な目標を立てることで、子どもたちの意欲をさらに引き出すことができます。

まとめ

今回は学級で整列する5つの目的を理解させ、子どもたちが自主的に並べるようになる指導法(6つのポイントと4つのステップ)について紹介しました。

3つのポイント
  • 整列の目的を理解させることで、子どもたちが「整列させられている」から「自分で整列する」へと意識を変えられること
  • 避難訓練や日常生活の中で、整列が「自分の命を守る行動」だと意識づけること
  • 整列のレベルを段階的に上げ、子どもたちの成長を実感させながら指導すること

この記事を読んだことで、子どもたちに「どうして整列するの?」と聞かれても、自信をもってわかりやすく説明できるようになったはずです。

また、整列がただの「並ぶ作業」ではなく、集団生活を安全に送るための大切な行動であることを伝えることで、子どもたちが納得して動ける学級づくりが実現できます。

整列の意義を理解し、自主的に整列できる子どもたちを育てることは、学級の団結力や集団行動力を高めるための大切なステップです。

ぜひ、今日からこの記事の内容を取り入れて、よりよい学級経営を目指していきましょう!

まっつー
まっつー

この記事を読んでくださり、ありがとうございました。

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