【学校の雑学⑥】なぜ窓に赤い逆三角形のマークがあるの?非常口や非常階段の意味も!

どうも、まっつーです。
学校の校舎を見上げて、「あの窓に貼られている赤い逆三角形のマークって何だろう?」と思ったことはありませんか?
あるいは、非常口のマークを見て「なんで形や色、向きが違うの?」と不思議に思ったことはないでしょうか?
さらに、非常階段をぐるぐる下っているときに「なんでいつもこの階段、同じ方向に回るんだろう?」と感じたことがある方もいるかもしれません。
どれも普段は何気なく目にしているものですが、その裏には、緊急時に子どもや教職員が迷わず安全に行動できるようにするための工夫が詰まっています。
今回の記事では、窓の赤い逆三角形の意味、非常口マークの種類と違い、非常階段は右回りか左回りか?という校舎の安全に関する3つのポイントをわかりやすく解説します!
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赤い逆三角形の正体は「消防隊進入口マーク」

校舎の窓に貼られている赤色の逆三角形のシールを見たことはありますか?
このマークの正式名称は、「消防隊進入口マーク」と言います。
このマークは、火事などの緊急事態が発生したときに、はしご車などを使って消防隊が建物の中にすばやく入るための目印です。
消防隊員がこのマークのついた窓を破って進入することで、校舎などの建物の中にいる人を救助します。
マークがついている窓は、ほかの窓と少し違いがあります。
という特徴があるのです。
また、マークの形や色も明確に定められています。
このように、見た目だけでなく安全性と機能性が詰まったマークなのです。
消防隊進入口には2つのタイプがある
このマークが貼られる「消防隊進入口」には、実は2つのタイプがあります。それが「非常用進入口」と「代替進入口」です。
まず「非常用進入口」は、バルコニー(ベランダ)付きのタイプになります。
ここには赤いマークの他に、赤い点滅灯(赤色灯)も設置され、消防隊が夜でも見つけやすいようになっています。
このタイプは、ある程度の広さや深さのあるバルコニーが必要なので、大きめのマンションや施設でよく使われています。
一方、「代替進入口」は、バルコニーがなくてもOKなタイプです。
大きな窓さえあれば進入口として認められるようになっています。具体的には、高さが1.2メートル以上・幅が75センチメートル以上の窓が、幅4メートル以上の道や通路に面していればよいとされています。
つまり、多くの学校やビル、店舗の窓にこのマークが貼ってあるのは、この代替進入口タイプなのです。
消防隊進入口マークが貼られている場所

このマークは、ただ貼られているのではありません。法律で決められた条件を満たす場所に貼られています。
これらのルールを守ることで、万が一火災が起きたときにも、消防隊が迷わず、すばやく建物に進入できるようになります。
つまりこのマークは、人の命を守るための“入口のしるし”なのです。

災害時には、消防隊員が「消防隊進入口マーク」が貼られている窓から建物内に進入することがあります。そのため、この窓の周りには、植木鉢や棚などの物を置かず、いつでも安全に出入りできるようにしておきましょう。
非常口マークには2種類ある

学校などの建物でよく見かける「非常口マーク」は、緑色の背景に、人が出口に向かって走っているようなイラストが描かれています。
実はこの非常口マークには2種類のデザインがあることをご存知でしょうか?
まず1つ目は、白い背景に緑色で人や矢印が描かれているタイプです。
これは「通路誘導灯」とも呼ばれ、非常口へ向かう道のりを示すサインです。このマークをたどっていけば、迷わず安全に非常口へ到達できるように設置されています。
2つ目は、緑色の背景に白い人や矢印が描かれているタイプです。
こちらは「避難口誘導灯」と言われ、まさに“ここが非常口です”という場所そのものを示すサインになっています。
- 白地の非常口マーク…道しるべ
- 緑地の非常口マーク…ゴール地点
校舎内を見回してみると、この2種類が連携して配置されていることに気づくはずです。
どちらも、緊急時に子どもたちが安全に避難できるように設計されている大切なサインなのです。
なぜ非常口マークは「緑色」なの?
「非常時に目立たせるなら、緑よりも赤や黄色のほうが良いのでは?」と疑問に思ったことはあるかもしれません。
しかし、非常口マークが緑色であるのには、きちんとした理由があるのです。
その理由は、火災時の視認性にあります。火事のとき、炎の色は赤やオレンジ、煙の中でも赤は目立ちません。
それに対して緑は、赤の補色(反対の色)にあたるため、視界が悪い中でももっとも目立ちやすい色として選ばれているのです。
さらに、緑には「安心」「安全」「進め」といった心理的なイメージもあります。信号機の青(実際には緑)と同じように、避難時に「こちらに進もう」と直感的に理解できる色でもあるのです。
このマークを考案したのは、グラフィックデザイナーの太田幸夫さんらによるもので、現在ではISO(国際標準化機構)に採用され、世界中で使われている世界基準のデザインになっています。
非常口マークの「向き」と「形」
非常口マークには左右どちら向きでもOKというルールがあります。実は、国際規格で「左向き」も「右向き」も正式なマークとして認められているのです。
ただ、避難するべき方向に合わせて、非常口マークの「ピクトグラム(走っている人)」の向きを変えることができます。
たとえば、廊下の突き当たりで右へ曲がるなら右向き、左へ曲がるなら左向きが使われます。
どちらも正解なので、子どもたちにも「走っている方向についていけばいいよ」と教えるのがポイントです。
また、非常口マークには、長方形と正方形の2種類があります。

長方形の非常口マーク…蛍光灯を使っている昔のタイプ
正方形の非常口マーク…LEDライトを使っている現代のタイプ
LEDの特徴は、明るさが強く、寿命が長く、省エネであることです。そのため、校舎などの建物の改修や新築時には、LEDの正方形タイプに置き換えられていることが多くなっています。
形の違いがあっても、どちらも命を守る非常口マークであることに変わりはありません。
非常階段は右回り?左回り?

学校やビルに設置されている「非常階段」は、火災や地震などの緊急時に避難するためのとても大切な階段です。
非常階段をよく見ると、ぐるぐると右に回って上っていく(右回り)構造になっていることが多いこと気づくと思います。
「非常階段って、登るためのもの?」と思った方、実はそれは逆なんです。非常階段の主な目的は“下りる”こと。つまり、緊急時に避難するために下る階段なのです。
そして、右回りに上がる階段は、下りるときには左回りになるのです。これは、ある理由で意図的に設計されています。
※右回り…時計回り、左回り…反時計回り
なぜ「左回り」がなのか?
人間は、なぜか無意識のうちに「左側に曲がる」「左の道を選ぶ」という行動を取りやすいと言われています。これを「左回りの法則」と呼ぶことがあります。
この左回りの法則には、いくつかの説が考えられています。
さらに、心理学の研究では「左回り=安心・安定」「右回り=不安・緊張」という感覚があることもわかっています。
このような人間の自然な感覚に基づいて、非常階段は左回りで下りられるように設計されているのです。
右回りが使われる場合も
左回りが「安心」を感じやすいのに対して、右回りは「緊張感」や「違和感」を感じやすいという心理を利用しているのが、遊園地のアトラクションです。
ジェットコースターは、ぐるぐると右回りや右旋回するように設計されていることが多いです。これは、人が無意識に不安やスリルを感じる方向だからです。
一方で、メリーゴーランドのような子どもが楽しむ遊具は、左回りで回っていることが多く、これにより安心感や安定感が得られるようになっているのです。
つまり、「ぐるぐると回る向き」には、人の心の動きがしっかり反映されているということです。
まとめ
今回は窓の赤い逆三角形の意味、非常口マークの種類と違い、非常階段は右回りか左回りか?という校舎の安全に関する3つのポイントについて紹介しました。
- 赤い逆三角形のマークは「消防隊進入口マーク」と呼ばれ、消防隊がすばやく建物内に入るための命のしるしであること
- 非常口マークには2種類あり、「通路誘導灯」と「避難口誘導灯」でそれぞれ役割が違い、緊急時に安心して避難できるように工夫されていること
- 非常階段は左回りになるように設計されていることが多く、これは人の自然な感覚や心理に配慮された避難しやすさを高める設計であるということ
この記事を読んだことで、これまで何気なく見過ごしていたマークや設備にも、しっかりとした意味と目的があることに気づけたのではないでしょうか。
学校は子どもたちが毎日安心して学び、生活する場です。だからこそ、万が一のときに命を守るためのサインや構造が、建物の中のあちこちに仕込まれているのです。
そして、その意味を先生が理解し、子どもたちにわかりやすく伝えることこそ、安全教育の第一歩です。
ぜひ、今回の記事の内容を、日々の防災教育や避難訓練、そして子どもたちとの会話の中で活かしていただけたら嬉しいです。