【学校の雑学④】なぜ背もたれがない椅子が理科室や図工室、家庭科室にあるのか?

どうも、まっつーです。
学校での教室を見渡していて、「あれ?理科室や図工室の椅子って、なんで背もたれがないんだろう…?」と感じたことはありませんか?
実はこの“背もたれのない椅子”、「角椅子(かくいす)」という名前があります。
子どもたちから「昔の古い椅子にには背もたれが無いんだよ」「壊れてるだけなんじゃ…?」なんて声を聞くこともありますが、決してそうではありません。
理科室・図工室(美術室)・家庭科室という3つの特別教室では、それぞれの活動の特性や安全面への配慮から、あえて背もたれのない角椅子が選ばれているんです。
今回の記事は、「なぜ角椅子なのか?」という素朴な疑問に丁寧にお答えしながら、それぞれの教科の学習内容と椅子の形との関係性をわかりやすく解説します!
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理科室の角椅子:逃げやすさが命を守る
理科室では、火や薬品、ガラス製品など、子どもたちにとって潜在的に危険な教材や器具を使う機会が多くあります。
たとえば、実験用ガスコンロの使用、化学反応の観察など、ちょっとした油断が大きな事故につながりかねません。
そんなとき、背もたれがある椅子では、服が引っかかったり、すぐに立ち上がれなかったりして、避難に遅れが出る恐れがあります。
しかし、背もたれのない角椅子であれば、すぐに後ろへ引いて立ち上がり、教室外への避難行動がとりやすくなります。
また、理科の実験中は「立って作業、座って記録」が基本です。
実験台の周囲を移動したり、実験道具を運んだりすることも多いため、椅子は机の下に完全に収めておく必要があります。
背もたれのある椅子ではこの収納が難しく、動線をふさいでしまうこともあります。
理科室で角椅子が使用されているのは、子どもたちの安全と教育活動の円滑な実施を第一に考えた結果なのです。
図工室の角椅子:作業台としても使える多用途性
図工室(美術室)で角椅子が使われる理由は、理科室とは少し異なります。
図工や美術の活動では、ノコギリ・金槌・ドリルなどの道具を使って作品を制作する場面もあります。
角椅子は、背もたれがないことで安定して座れるだけでなく、横に倒して「当て板」として使うこともできます。
これは、木材に穴を開けたり切断したりする際の作業台として活用される重要な工夫です。背もたれがある椅子では、このような使い方ができません。
一つの椅子に「座る」「作業する」「支える」という複数の機能を持たせているのが角椅子の魅力でもあります。
また、絵の具や粘土、はさみや糸などを使う制作活動では、体を自由に動かせることが大切です。
背もたれがあると、かえって動作を妨げることがあります。角椅子なら、どの方向にも身体を回しやすく、創作に集中できる環境が整うのです。
家庭科室の角椅子:安全と動きやすさ
家庭科室もまた、火や刃物を扱う危険性のある教室です。
ガスコンロでの調理、包丁や皮むき器の使用、熱湯や油の取り扱いなど、事故リスクは意外と高いものです。
そんな中で背もたれがある椅子を使うと、緊急時にすばやく立ち上がることが難しくなるだけでなく、椅子の背に衣服が引っかかることで転倒などの事故につながる可能性もあります。
さらに、家庭科では「動く」「立つ」「座る」を繰り返す授業展開が一般的です。
調理の手順を確認したり、グループで配膳を行ったり、後片付けをしたりと、活動はめまぐるしく変化します。
背もたれのない角椅子であれば、必要なときにさっと移動でき、周囲のスペースも広く使えるのです。
まとめ
今回は「なぜ角椅子なのか?」という素朴な疑問に丁寧にお答えしながら、それぞれの教科の学習内容と椅子の形との関係性について紹介しました。
- 理科室では「すぐに立てること」が命を守る行動につながるため、安全性を優先して角椅子が使われていること
- 図工室では「椅子が作業台としても使える」ように、創作活動に適した多用途性が求められていること
- 家庭科室では「安全と動きやすさ」が大切にされており、授業中に何度も立ち座りする流れに合っていること
この記事を読んだことで、「どうして背もたれがないの?」という子どもの質問にも、自信をもって教育的な意図をふまえて説明できるようになるはずです。
そして、教室づくりを考えるうえで、道具や環境が学びにどれほど影響を与えるのかに、より深い視点をもてるようになるでしょう。
ぜひ、理科室や図工室(美術室)、家庭科室で授業を行う際には、今回の記事で紹介した「なぜ角椅子なのか?」という理由を子どもたちに伝えてみてください。
きっと、「なるほど!」という納得とともに、安全への意識も高まり、安心して学習に取り組む姿勢が生まれはずです。