【学校の雑学⑩】なぜ教室の天井は高いのか?天井の模様の秘密も!

どうも、まっつーです。
学校の教室に入ったとき、ふと「なんでこんなに天井が高いんだろう?」と思ったことはありませんか?
あるいは、子どもに「天井についている点々の模様って何?」と聞かれて、どう答えたらいいか困った経験がある方もいるかもしれません。
実は、あの高い天井にも、そして独特な天井の模様にも、子どもたちが安心して、集中して学べるようにという深い理由が隠されているんです。
「天井の高さ」や「模様のデザイン」なんて、ふだん気にもとめないかもしれませんが、学校という学びの場を支える“空間設計の知恵”なのです。
今回の記事は、教室の天井の高さに込められた意味と、一見気になる天井の模様がもつ意外な機能をわかりやすく解説します!
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教室の天井が高い理由

教室の天井を見ると、比較的高くなっています。
実はこの“天井の高さ”にも、子どもたちが安心して、快適に、集中して学べるようにという願いがしっかり込められているのです。
昔から大切にされてきた天井の高さの基準
教室の天井の高さについては、明治時代からすでに基準が定められていました。
明治15年(1882年)には、当時の文部省が出した基本方針の中で「教室の天井の高さは一丈(約3メートル)を下回ってはならない」と示されていました。
その後も、「10尺(約3メートル)以上」「9尺(約2.7メートル)以上」など、細かな変更はありましたが、3メートル前後の天井高が“理想”とされてきた歴史があるのです。
法律で定められている教室の天井の高さ
現在の基準は、昭和25年に制定された「建築基準法」の中に明記されています。
通常の建物の居室の天井の高さは「2.1メートル以上」とされていますが、学校の教室だけは別格です。
床面積が50㎡(約30畳)を超える小学校・中学校・高校の教室については、「天井の高さは3メートル以上」と定められているのです。
その理由は2つあります。
空気がこもらないようにするため
教室の中で大人数の子どもたちが何時間も授業を受けたり、発言したり、給食を食べたりします。
もし教室が狭く、天井が低いと、人が出す二酸化炭素や熱、湿気がこもってしまい、空気がよどみやすくなります。
それを防ぐために天井を高くして、空気の循環がしやすい広い空間にしているのです。
視覚的に「開放感」があるから
教室の天井が高いと、空間にゆとりが生まれ、圧迫感を感じにくくなります。
この「開放感」は、子どもたちに安心感や心の余裕をもたらし、リラックスして過ごしやすい環境づくりにつながります。
その結果、集中力が高まりやすくなると考えられているのです。
天井に変な模様がついている理由

学校だけでなく、病院、公共施設で見かけるこの天井の模様。
よく見ると、波のような線や虫食いのような点がランダムに広がっていることに気づきます。
子どもたちに天井の模様について質問すると、「見た目が気持ち悪い!」「傷がついてる」「もっとキレイな模様にすればいいのに…」と答えが返ってくることがあります。
しかし、この模様はただのデザインではなく、しっかりと意味があるのです。
正体は「トラバーチン模様」だった
専門的には「トラバーチン模様」と呼ばれています。
「トラバーチン」とは、もともと大理石の一種で、古代ローマ時代から建築の材料として使われてきた天然石の名前です。
この石には、縞のような模様や小さな穴のような凹凸があるのが特徴で、それを模して作られたのが、私たちがよく目にする天井材のデザインなのです。
つまり、天井に広がる「波のような線」や「虫食いのような点々模様」は、ただのデザインではなく、トラバーチン石の質感をオマージュして取り入れたものなのです。
なぜ学校の教室でよく使われているのか?
このトラバーチン模様を採用した天井材が、学校をはじめ、病院や公共施設などでよく使われているのには2つの理由があります。
吸音効果があるから
よく見ると、トラバーチン模様の中には小さな穴がたくさん開いているのがわかります。
実はこの穴、ただの飾りではなく、音の反響を抑えるための機能的な工夫でもあるのです。
表面に開いた無数の小さな穴によって、天井全体の表面積を広げ、音を吸収しやすくしています。
たくさんの子どもたちが話したり移動したりする教室では、どうしても音が響きやすくなりますが、この吸音効果によって、声が聞き取りやすくなり、集中しやすい環境をつくる手助けをしてくれています。
ビスやネジが目立ちにくいから
天井材は、取り付けの際にビス(ネジ)でとめられますが、模様が一面に広がっていることで、ビスの跡が目立ちにくくなるというメリットがあります。
つまり、見た目の美しさを保つ役割も担っているのです。
一見バラバラに見えるような模様も、実は目立ってほしくない部分を目立たせないための工夫が詰まっています。
まとめ
今回は教室の天井の高さに込められた意味と、一見気になる天井の模様がもつ意外な機能について紹介しました。
- 教室の天井が高い理由には、空気の流れをよくして快適な環境を保つこと、そして子どもたちに開放感と安心感を与えるためという、教育的な配慮があること
- 法律によって、学校の教室だけは特別に天井の高さが定められているという事実があり、それだけ子どもたちの学びの空間が重視されているということ
- 教室の天井の模様(トラバーチン模様)には、音の反響を抑えたり、ビスの跡を目立たせないという実用的な機能が込められていること
この記事を読んだことで、「天井なんて気にしたことなかった…」という方も、教室という空間そのものが子どもの学びを支える教材であるという視点を持てるようになったのではないでしょうか。
毎日当たり前のように使っている教室には、子どもたちが安心して学び、成長していくための工夫がたくさん隠れています。
子どもたちが見上げるその天井の先に、見えない優しさと知恵が詰まっていることを、私たち大人が伝えていきましょう。