【直伝】お辞儀の指導で礼儀が身につく!お辞儀と言葉、どっちが先?

どうも、まっつーです。
学級づくりを進める中で、「お辞儀がいい加減」「首だけをペコッと下げているだけ」「なんとなく形式的で心がこもっていない」と感じたことはありませんか?
もしかすると、それはお辞儀の仕方や意味を、子どもたちがしっかり理解できていないことが原因かもしれません。
学校では、毎日のように「おはようございます」や「起立、礼」など、お辞儀をともなうあいさつの場面が繰り返されます。
そして、子どもたちは友達や先生だけでなく、保護者、地域の方々など、さまざまな人と関わりながら学校生活を送っています。
そんな日常の中で、「なんで頭を下げるの?」「お辞儀と言葉、どっちが先なの?」と、子どもたち自身が疑問を感じたり、戸惑ったりしている様子が見られたりするのであれば、お辞儀の意味や正しいやり方を丁寧に伝えていく必要があります。
今回の記事は、学級で子どもたちに身につけさせたいお辞儀の基本姿勢と指導のポイントをわかりやすく解説します!

この記事は以下のような人におすすめ!
- お辞儀の指導をしたいけど、どこからどう教えたらいいかわからない
- 授業や学校行事で“礼の場面”が多いので、きちんと教えておきたい
- 子どもたちにもっと丁寧なあいさつができるようにしたい
この記事を読めば、お辞儀という“形”に、子どもたちが“心”を込められるようになる指導のヒントがきっと見つかるはずです。
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お辞儀をする場面と意味
学校をはじめ、日常生活のさまざまな場面で、私たちは気がつかないうちに毎日のようにお辞儀をしています。具体的には、次のような場面で行われています。
さらに面白いことに、相手が目の前にいないときでさえ、自然とお辞儀をしてしまうことがあります。
たとえば、電話であいさつをするときに、無意識に頭を下げてしまうことがあります。
また、一部の業界では「お辞儀ハンコ」と呼ばれ、目上の人の印鑑に対して敬意を表す意味で、自分の印鑑を斜めに傾けて押すという習慣があることも知られています。

どうしてこんなにもお辞儀をする場面が多いの?

お辞儀をする場面が多いということは、それだけお辞儀が大切な意味をもつ動作だということがわかるよね。
お辞儀をする意味
お辞儀とは、腰を折って頭を下げて敬意を表す動きのことです。
しかし、これはただの動作ではありません。そこには、次のような意味や気持ちが込められています。
そして、お辞儀の形には歴史的な背景もあります。昔の人は、お辞儀をすることで自分の急所である頭や首を相手の前に差し出す形をとりました。
これは、「私はあなたに敵意がありません」「私はあなたを信じています」という合図だったと考えられています。
お辞儀=自分の心を見せる行為
海外ではどうやってするの?
日本ではお辞儀が一般的なあいさつの方法ですが、海外ではお辞儀とは異なるスタイルのあいさつが多く見られます。ここでは、世界各地のさまざまなあいさつの方法を紹介します。
欧米:握手
アメリカやヨーロッパでは、握手があいさつの基本です。右手を差し出して、相手と手を握ることで「こんにちは」や「よろしくお願いします」の気持ちを伝えます。
相手に敵意がないことや、武器を持っていないことを示す行為であり、心を通わせるという意味も込められています。
ただし、男性と女性が握手する場合、女性が先に手を出すのを待つのがマナーとされています。これは「レディーファースト」の考え方が根付いているからです。
タイ:合掌のお辞儀「ワイ」
タイでは、日本のお辞儀とは少し異なり、両手を胸の前で合わせて頭を下げる「ワイ」と呼ばれる合掌のスタイルであいさつをします。
この「ワイ」は、仏教の教えに深く根ざした文化的な所作であり、相手に対する敬意や感謝、親しみの気持ちを表すための美しいあいさつ方法です。
また、手の位置や頭の下げ方によって、その場面や相手との関係性に応じた丁寧さの度合いが変わるのも特徴です。
ニュージーランド:鼻と鼻を合わせる「ホンギ」
ニュージーランドには、先住民マオリ族に伝わる「ホンギ」という独特なあいさつの方法があります。
「ホンギ」とは、お互いの鼻と鼻を軽く合わせることで、相手とのつながりを確かめる、非常に象徴的で伝統的なあいさつです。
この動作には、「命の息を分かち合う」という意味が込められており、相手をただの訪問者ではなく、“家族”や“仲間”として受け入れるという深い歓迎の気持ちが表現されています。
フランスやイタリアなど:頬を合わせる「チークキス」
フランスやイタリア、スペイン、オランダなどの国々では、「チークキス」と呼ばれる、頬に軽くキスをしたり、頬同士を合わせたりするあいさつが行われています。
これは親しい間柄で交わされるスキンシップをともなうあいさつで、信頼や親しみを伝えるための文化的な表現です。
チークキスには、地域や国によって回数やルールに違いがあります。

世界にはいろいろなあいさつの形がありますが、共通していることは、「相手を大切にする気持ちを表す」「相手との心の距離を縮める」ということです。
お辞儀の3種類
日本におけるお辞儀には、相手に対する気持ちや場面に応じて使い分ける3つの種類があります。
- 会釈(15度)
- 敬礼(30度)
- 最敬礼(45度)
これは、お辞儀の角度(上体の傾け具合)によって分類されています。それぞれの特徴と使いどころを紹介します。
① 会釈(15度)

もっとも軽いお辞儀で、日常的なちょっとしたあいさつに使われます。
たとえば、廊下ですれ違ったときや、目が合ったときに軽く頭を下げるような場面です。
このとき、「おはようございます」「こんにちは」といった一言を添えて、にこっと笑顔を見せると、相手にとても良い印象を与えることができます。
会釈は短時間でできる礼儀の基本ですが、その一瞬に思いやりと敬意を込めることが大切です。
② 敬礼(30度)

学校生活の中でもっともよく使われるのがこの敬礼です。
たとえば、授業の始まりや終わりのあいさつ、来校された保護者や地域の方に対するお出迎え・お見送りの場面などで活用されます。
敬礼では、背筋をまっすぐに伸ばし、腰から上体を約30度傾けて丁寧にお辞儀をします。
この姿勢が整っていることで、「この人は礼儀を大切にしている」と伝わる、信頼感ある立ち振る舞いになります。
③ 最敬礼(45度)

3つの中でもっとも深く丁寧なお辞儀です。
心からの感謝や謝罪を伝える場面、あるいは入学式や卒業式、周年行事などの正式な場面で使われます。
最敬礼では、ゆっくりと深く上体を45度まで倒し、静かに気持ちを表すことが求められます。
ただ頭を下げるだけでなく、「ありがとうございます」「申し訳ございません」「よろしくお願いします」といった心のこもった想いを、しっかりと動作にのせることがポイントです。
お辞儀と言葉、どっちが先?
会釈・敬礼・最敬礼のどのお辞儀をするときにも共通する大切な作法が、「語先後礼(ごせんごれい)」です。
語先後礼とは、「言葉を先に、礼を後に」という意味で、あいさつの言葉をきちんと相手に伝えたあとにお辞儀をするのが正しい順番とされています。
※先言後礼(せんげんごれい)と呼ばれることもあります。
たとえば、「おはようございます」「よろしくお願いします」「ありがとうございます」と言ってから頭を下げる、という流れです。
この順番を守ることで、相手の顔を見ながらしっかりとあいさつの言葉を伝えることができ、「心をこめてあいさつしていますよ」という気持ちが届きやすくなります。
この語先後礼は、「分離礼(ぶんりれい)」とも呼ばれ、言葉と動作を分けて丁寧に行う礼儀の基本として重要視されています。
同時礼は避けるべき
一方で、言葉とお辞儀を同時に行ってしまう「同時礼」には注意が必要です。
たとえば、「おはようございます」「よろしくお願いします」「ありがとうございます」と言いながら同時に頭を下げると、相手の顔を見ずに地面に向かって声を出すことになってしまいます。
これでは、言葉が伝わりにくく、相手の目を見て気持ちを届けるという本来の目的が果たせません。
子どもたちのあいさつの様子を見ていると、「よろしくお願いします」と言いながら同時に頭を下げてしまっている姿が見受けられることがあります。
このようなときは、「まず言葉をしっかり伝えてから頭を下げようね」と丁寧に指導することが必要です。
お辞儀の姿勢と手の位置
お辞儀を美しく、そして丁寧に見せるためには、背筋・目線・手の位置の3つが大きなポイントになります。
これらが整っていると、自然と礼儀正しい印象を相手に与えることができます。
背筋はピンと伸ばすのが基本
お辞儀をするときは、首だけを曲げるのではなく、腰から上体をまっすぐ倒すことが基本姿勢です。
背中が丸くなったり、あごが上がったりするとだらしなく見えてしまうため、背筋をピンと伸ばすことを意識しましょう。
小学校の低学年の授業では、始まりや終わりのあいさつの前に「姿勢を正してください」と日直当番が声をかける場面がよく見られます。
これは、「お辞儀をするためにふさわしい姿勢」を整えることを意識づける習慣です。
お辞儀の角度に合わせた目線の位置
お辞儀の角度に合わせて、視線の位置も変わります。これは、自然な動作を保ち、無理のない姿勢で行うための目安です。
目線を正しく保つことで、お辞儀の深さが自然になり、気持ちのこもった所作として相手に伝わります。
男女別の手の位置
お辞儀をする際の手の位置も美しさと礼儀を整える大切な要素です。一般的には、性別によって次のような手の置き方が基本とされています。
- 女性の場合…右手を左手で軽く包み(左手が上、右手が下)、指先をそろえて身体の前で重ねます。肘を少し曲げると、柔らかく上品な印象になります。
- 男性の場合…手を体の横にまっすぐ下ろし、中指を太もものラインに沿わせます。手のひらを軽く太ももに添えるようにすると、自然で力みのない姿勢になります。
ただし、性別にとらわれず、自分にとって自然で落ち着く手の位置を選ぶという考え方も広がっています。
NGなお辞儀の仕方
お辞儀の仕方が間違っていると、相手に失礼な印象を与えてしまうことがあります。
「きちんとあいさつしたつもり」でも、見た目の動作が整っていないと、相手には不真面目・いい加減・だらしないといった誤解を与えてしまうこともあるのです。
以下は、子どもたちに気をつけてもらいたいNGなお辞儀の例です。
相手を見ていない
お辞儀をする前に、しっかりと相手の目を見る(アイコンタクト)必要があります。
目を合わせないままお辞儀をすると、「自信がない」「興味がない」と思われてしまう可能性があります。
まずは相手の存在をきちんと受け止めるという姿勢を、目線でしっかり伝えましょう。
首だけペコッと下げる
首だけを軽く動かすお辞儀は、非常に軽く見えてしまい、礼儀が足りない印象を与えます。
また、背中が丸くなっていると、全体の姿勢も悪く見えがちです。
腰から上体をまっすぐに倒す意識を持つことが、きれいなお辞儀の第一歩です。
何度もペコペコと頭を下げる
お辞儀を何度も繰り返してしまうと、たとえ本人に悪気がなくても、相手には「本気で気持ちを伝えるつもりがないのでは?」「ふざけているのかな?」と誤解されてしまうことがあります。
お辞儀は「1回で丁寧に、そして心を込めて」行うことが基本です。
「回数が多ければ相手に気持ちが伝わりやすい」と思いがちですが、実は逆効果になるのです。
まとめ
今回は学級で子どもたちに身につけさせたいお辞儀の基本姿勢と指導のポイントについて紹介しました。
- お辞儀は、あいさつと同じく相手への思いやりを表す大切なマナーであること
- 子どもたちには「形」だけでなく、「気持ち」も込めたお辞儀ができるよう、具体的な言葉かけと丁寧な指導が必要であること
- 背筋・目線・手の位置という基本姿勢を丁寧に教えることで、子どもたちの礼儀正しさが自然と育っていくこと
この記事を読んだことで、あいさつに込める気持ちや、場面ごとに適したお辞儀の使い分け、正しい姿勢のポイントなどを、子どもたちに伝える具体的なイメージがつかめたのではないでしょうか。
お辞儀の指導は、朝や帰りのあいさつ、授業の始まり・終わりの場面、感謝を伝えるときなど、日々の生活の中で自然に行うことがポイントです。
先生の姿勢や声かけが、子どもたちのお辞儀を育てる大きな土台になります。
「礼に始まり、礼に終わる」という言葉があるように、お辞儀は人と人との関係の始まりや終わりを結ぶもの。
子どもたちが自然に心を込めてお辞儀ができるように、丁寧に育てていきましょう。