【緊急時】避難訓練を真剣にさせる指導法5選!

どうも、まっつーです。
避難訓練の時に、「子どもたちが真剣に取り組まない…」「緊急時にどう動けばいいのか、子どもたちにうまく伝えられない…」とお悩みではないでしょうか?
避難訓練は、災害から命を守るために欠かせない大切な取り組みですが、日常とは違う特別なイベントとして捉えられがちです。
特に、まだ災害の恐ろしさを実感したことがない子どもたちにとっては、「どうしてこんな訓練が必要なのか?」を理解するのは難しいものです。
しかし、災害はいつどこで起こるかわからないからこそ、避難訓練の意義をしっかり伝え、実際の緊急事態に備えることが大切です。
今回の記事は、学校で実施する避難訓練の目的や基本的な流れ、5つの指導のポイントをわかりやすく解説します!

この記事は以下のような人におすすめ!
- 避難訓練をもっと実践的にしたい
- 子どもたちに災害の怖さや避難の大切さを伝えたい
- 子どもたちに「いざというとき」に自分の命を守れる力を身につけさせたい
- 素早く並んで、黙って静かに避難できるようにしたい
この記事を読めば、避難訓練を通じて子どもたちの防災意識を高め、安全で安心な学校生活をサポートするための実践的なヒントが得られるようになります。
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避難訓練とは何か?
平成25年3月に公布され、平成27年7月に増刷された「東京都教育委員会の避難訓練の手引」によると、避難訓練の定義について次のように示されています。
地震、風水害、火山噴火などの自然災害や火災などの災害に備え、各学校で定期的に行われる安全指導の一つで、特別活動の〔学校行事〕の「健康安全・体育的行事」に位置付けられている。
都内の公立学校においては、幼稚園・小・中学校・特別支援学校では、年11回、高等学校では、年4回以上の避難訓練を実施しており、他の防災教育と連携して、計画的に実施することが重要である。
つまり、避難訓練とは、地震や火災、津波などの災害が起きたときに、命を守るために安全な場所に避難する方法を練習することです。
災害は、授業中だけでなく、休み時間や清掃中、さらには登下校中にも起こる可能性があります。
また、特別教室や体育館、校庭など、普段と異なる場所にいるときにも災害が発生することがあります。
そのため、子どもたちや先生がどのような状況でも迅速に身の安全を確保できるように、さまざまな災害や発生状況に応じた避難訓練を実施することが大切です。
命を守る姿勢=「いざ」というときに冷静で正確な行動が取れるように、日頃からしっかりと準備しておくこと

避難訓練は、授業中に実施されることが多いけれど、「授業時間」ではなく、「学校行事の時間」として時数がカウントされるんだよ。

学校行事と言えば、運動会や遠足、社会科見学などがあるけど、避難訓練も行事なんだね。
避難訓練の目的
避難訓練は、災害時に子どもたちや先生が迅速かつ安全に避難できる力を身につけるために欠かせない取り組みです。
適切な避難行動がとれるようになることはもちろん、日頃から防災への意識を高めることにもつながります。
そこで、避難訓練にはどのような目的があるのかを理解することは、防災に対する考え方や行動を大きく変える重要な一歩です。

子どもたちから「どうして避難訓練をする必要があるの?」と質問されたら、どう答えればいいの?

それは、避難訓練をする目的が6つあるからだよ。
- 子どもたちや先生の命を守るため
- 落ち着いて行動する力を育てるため
- 正しい避難方法を身につけるようにするため
- 仲間と協力して避難する力を育てるため
- 実際の災害を想定した準備ができるようにするため
- 自ら命を守る意識を育てるため
子どもたちや先生の命を守るため
避難訓練の一番大切な目的は、子どもたちや先生の命を守ることです。
災害はいつどこで起こるか予測できません。地震や火災、津波といった自然災害だけでなく、不審者の侵入や交通事故など、さまざまな危険が日常の生活には潜んでいます。
そのため、子どもたちが自分の命を守るために、「どう動けばいいか?」「どこに避難すれば安全か?」を正しく知り、いざというときに冷静に行動できるようにすることが、基本的な目的です。
落ち着いて行動する力を育てるため
災害が発生したとき、多くの人は突然の出来事に驚き、混乱してしまいます。
しかし、こうした状況で慌ててしまうと、正しい判断ができなくなり、二次災害のリスクも高まります。
例えば、地震のときに慌てて教室を飛び出してしまうと、揺れで倒れた棚や落ちてきたガラスにぶつかる危険があります。
また、火災が起こった場合、焦って走ると転倒して他の人に迷惑をかけることや、煙を吸ってしまうリスクも増えます。
こうした危険を避けるために、「慌てない」「冷静に指示に従う」ことを、何度も繰り返し練習し、日頃から落ち着いて行動する力を身につけることが重要です。
正しい避難方法を身につけるようにするため
避難訓練の目的の一つに、正しい避難方法を身につけることが挙げられます。
地震や火災など、災害の種類によって避難方法は異なります。
例えば、地震が発生した場合は、落ちてくるものや倒れてくるものから身を守るために、机の下に身を隠すことが基本です。
一方、火災の場合は、煙を吸わないように低い姿勢で、口元をハンカチで覆いながら避難することが大切です。
また、津波の危険がある地域では、高台や安全な場所に速やかに移動することが求められます。
こうした災害の種類に応じた避難方法を、実際に体を動かして覚えることが、避難訓練のポイントです。
仲間と協力して避難する力を育てるため
避難訓練は、個人の安全だけでなく、集団での避難も意識する必要があります。
教室や体育館で多くの子どもたちが一斉に避難する場面では、お互いに協力することが欠かせません。
たとえば、前の人について行くことや、転倒した友達を助けることも重要な行動です。
また、避難訓練の際のルールを守ることで、パニックを防ぎ、スムーズな避難が可能になります。
こうした協力の力は、普段の学校生活だけでなく、将来の社会生活においても大切なスキルです。
実際の災害を想定した準備ができるようにするため
避難訓練は単なる「練習」ではなく、実際の災害に備えるための「準備」でもあります。
災害はいつ、どこで起こるか分からないため、教室だけでなく、体育館、校庭、特別教室、さらには登下校中の状況も想定した訓練が必要です。
たえば、授業中以外にも休み時間、掃除の時間など、日常のさまざまな場面でどう行動するかを考え、訓練を行うことが大切です。
また、訓練の後には「どこがうまくいったか?」「どこが課題だったか?」を振り返り、次回に生かすことも忘れてはいけません。

実際には、給食中だと給食をひっくり返してしまい、皿が割れたり、スープがこぼれて火傷をしたりするリスクがあります。こうしたことを想定した上で、避難訓練を実施する時間を決める必要があります。

理科の授業で「火を使った実験」をしようと思っていたけど、避難訓練の時間と重なってしまったため、他の時間に移動させることもあるよ。
自ら命を守る意識を育てるため
最終的には、子どもたちが自ら命を守る意識を持つことが避難訓練の最大の目的です。
先生や保護者などの大人がそばにいない場面でも、自分で状況を判断し、適切な行動が取れるようにすることが重要です。
そのためには、日頃から防災意識を高めることが欠かせません。
たとえば、非常口の位置を確認する、日常的にハンカチを持ち歩くといった、小さな習慣も大切な準備の一つです。
災害の恐ろしさ
災害は、「いつでも・どこでも・だれにでも」起こりうるものです。
けれども、私たちの多くは、普段の生活の中で「まさか自分の身にふりかかるなんて?」と考えてしまいがちです。
実際に被害にあわない限り、その恐ろしさを実感する機会はなかなかありません。
だからといって、怖いから外に出ないというわけにもいきません。
大切なのは、日常生活を送る中でも災害の危険性を、心のどこかにしっかりと持っておくことです。
そこで、「火災・地震・津波や水害・台風がなぜ恐ろしいのか?」を、わかりやすく解説していきます。
火災の恐ろしさ
「火災」とは、本来は望まれていない火や爆発が起こり、それが広がってしまう現象のことです。
火災は、わたしたちの身近で突然命を奪う、もっとも恐ろしい災害のひとつです。
特に子どもたちが多く集まる学校では、万が一のときにすぐ逃げられるように「火災を想定した避難訓練」が欠かせません。
総務省が発表した「令和5年(1~12月)における火災の状況(確定値)」によれば、日本全国では38672件の火災が発生しました。
これは、1日あたり100件以上の火事が起きているということになります。
もっとも注意すべきは、「火そのもの」よりも「煙」です。火災による死者の多くが、煙を吸い込んだことによる窒息や一酸化炭素中毒だといわれています。
煙は上の方にたまり、あっという間に視界をうばい、呼吸を困難にします。
火事は、ただこわいだけでなく、すべてを一瞬で命を奪ってしまう脅威なのです。
地震の恐ろしさ
「地震」とは、地下にある大きな岩のかたまり(岩盤)が、強い力で押されたり引っぱられたりして、ある瞬間にズレ動くことで起きる現象のことです。
地震は予告なしに突然やってきます。しかも、日本は世界でも有数の地震大国です。
たとえば、2024年1月1日に発生した能登半島地震では、最大震度7を記録し、大きな被害が出ました。
また、東日本大震災(2011年)では、マグニチュード9.0という観測史上最大級の揺れが東北地方をおそい、死者・行方不明者は22000人以上にものぼりました。
さらに、今後発生が心配されている「首都直下地震」や「南海トラフ巨大地震」では、大都市ならではのさまざまな被害が広がると考えられています。
たとえば、高層ビルの倒壊、地下鉄や道路の崩れ、大規模な火災、ライフライン(電気・水道・ガスなど)の停止などが起こる可能性があり、私たちの生活に深刻な影響を与えるおそれがあります。
大きな揺れが起きたその瞬間に、まず自分の命を守る行動がとれるかどうかが、生きのびられるかどうかを左右します。
津波・水害(川の氾濫や堤防の決壊)の恐ろしさ
「津波」とは、海の中で地震が起きたときに、海底の地形が急に変化することで海水全体が大きく動き、その影響が波となって周囲に広がっていく現象のことです。
「水害」とは、大雨や台風などによる大量の雨が原因で発生する災害のことです。
津波、川の氾濫、大雨による堤防の決壊など…これらは一気に人の命と街をのみこんでしまいます。
2011年の東日本大震災では、地震そのものよりも津波によって亡くなった人が全体の約9割にも上りました。
また、2020年7月の熊本豪雨で、球磨川が氾濫し、多くの人が命を落とすという痛ましい被害もありました。
水害の怖いところは、「見た目よりも早く・強く・深く」やってくることです。
個人差や個体差はありますが、たった30センチの水で大人でも歩けなくなり、50センチを超えると車も動かなくなります。
津波や氾濫は待ってくれません。少しでも早く、少しでも高い場所に避難する意識づけが、命を守る最大の武器になります。
台風の恐ろしさ
「台風」とは、熱帯の海の上で発生した強い低気圧のうち、特に風が非常に強くなったものです。具体的には、北西太平洋や南シナ海で発生する「熱帯低気圧」のうち、中心付近の最大風速が毎秒17メートル(風力8)以上に達したものが「台風」と呼ばれます。
台風は、強い風や大雨だけでなく、洪水や土砂崩れ、高潮などいくつもの災害を同時に引き起こす「複合型災害」でもあります。
そのため、被害の範囲が広く、しかも予想外の場所や時間に被害が出ることも少なくありません。
実際に、台風によって住宅が壊れたり、床上・床下浸水になったり、命を落としてしまったりする被害が全国各地で発生しています。
台風の前には天気予報などで注意情報が出されるため、「準備の時間がある」と思ってしまいがちです。しかし、その油断が命取りになることもあります。
たとえば、「もう台風は過ぎたかな?」と思って外に出たときに、風で飛ばされた物が当たってケガをする事故が毎年のように起きています。
また、川の様子を見に行った人が流されて亡くなるケースも少なくありません。

学校では、台風の接近が予想される場合、「前日のうちに休校を決める」「下校時刻を早める」「当日の早朝にメール配信で知らせる」などの判断を迅速に行い、子どもたちの安全を最優先に考えた対応をとっています。
実際の避難訓練の流れ
避難訓練は、ただ「外に出て避難するだけ」の活動ではありません。すべての行動には、命を守るための大切な意味と目的があります。
そして、一つひとつの動きに理由があり、それを理解して実践することが、本当の安全につながるのです。
ここでは、実際に学校現場で行われている避難訓練の流れを、わかりやすく説明します。
緊急放送が流れる
避難訓練の始まりは、校内放送からです。
このような職員室から流されたアナウンスが、校長先生や教頭先生(副校長先生)の声で学校中に響き渡ります。
この放送をきっかけに、子どもたちは一斉に訓練行動へと移ります。
- 事前予告あり…事前に日時や内容を知らせる避難訓練
- 事前予告なし…抜き打ちの避難訓練
訓練には2種類あります。抜き打ちの避難訓練については、実際の災害が突然やってくることを想定し、本番に近い緊張感を持たせるための取り組みです。
放送が流れた瞬間、子どもたちは先生から教わった内容を思い出し、冷静に行動しようとする意識が自然と働きます。

抜き打ちの避難訓練を実施する際に、パニックを起こしてしまう可能性のある配慮が必要な子どもが学級にいる場合は、
その子にはあらかじめ訓練の実施を伝えるなど、個別に配慮した対応を取ることが大切です。
身の安全を確保する
緊急放送の直後、子どもたちは災害の種類に応じた“身の守り方”を実行します。
こうした行動は、子どもたちが「毎年の訓練の積み重ね」で自然と身につけていく力でもあります。
地震・火災・水害など、それぞれの災害ごとに、その場に応じた正しい身の守り方を“体で覚えること”が、命を守るためには欠かせません。
避難場所へ整列・移動する
身の安全を確保したら、次に行うのは指定された避難場所への移動です。
子どもたちは声を一切出さずに静かに整列し、先生は全員が防災頭巾を被ったり、テッシュに鼻や口をあてたりしていることを確認したら、集合場所へ移動します。
多くの学校では、校庭の決められたエリアに集合しますが、出火場所や煙の流れ、建物の状況によっては避難ルートを変更したり、校外の避難場所(近くの公園や神社など)に向かうこともあります。
水害を想定する場合は、校庭に避難するとかえって危険が増す可能性があるため、屋上や高台などのより安全な場所への避難を想定した訓練を行うこともあります。
また、「中央階段が使用できない」「理科室前の廊下が通れない」という設定で、特定の通路や階段のみを使って避難する計画が立てられることもあります。
このように、非常時に備えて複数のルートや状況を想定して訓練することはとても重要です。
安否確認を行う
避難場所に全員が到着したら、次に行うのは安否確認(点呼)です。
学級ごとに整列し、「2、4、6、8…」と偶数で数えながら、隣の子と位置を揃えて人数を数えます。
これは、避難訓練の中でも特に重要な場面です。先生は、名簿(出席簿)を活用して人数や安否を確認し、その結果を本部へ報告します。
避難中にけがをした子どもや、行方が分からない子どもがいないかを、数分以内に正確に確認できるかどうかは、命を左右する場合もあります。
そのため、この「人数確認をどれだけ迅速かつ正確に行えるか?」が、避難訓練における大きなカギとなります。
校長先生や避難訓練担当の先生からの話を聞く
点呼が完了し、全体が落ち着いたところで、校長先生や避難訓練担当の先生からの講話があります。
この時間は、単なる“締めくくり”ではなく、今日の訓練を深く理解するための“学びの時間”です。
「避難にかかった時間は◯分◯秒でした」と具体的な時間を発表したり、「今回の訓練で、放送や先生の指示をしっかり聞いて行動できましたか?」と子どもたちに問いかけたりすることで、訓練のふり返りを促します。
また、必要に応じて「もっと注意が必要な点」についてわかりやすく伝えることで、次回への意識づけにもつながります。
教室など元にいた場所に戻る
避難訓練が終わると、先生の指示で再び整列し、落ち着いて教室へ戻ります。
この時も、慌てず静かに行動する姿勢を保つことが大切です。
実際の災害を想定して、上ばきのまま外へ避難するため、上ばきの靴底が土や泥で汚れてしまうことがあります。
そのため、校舎に戻る際には、「靴ふきマット」などを使ってしっかりと汚れを落としてから、教室や廊下に入るようにします。
引き渡し訓練の場合:保護者に引き渡す
引き渡し訓練がある場合、保護者にはプリントやメール配信などで訓練の日時・目的・方法を事前に知らせます。また、「引き渡しカード」などの提出を求め、誰が迎えに来るのかを把握にしておきます。
昇降口や体育館、教室前の廊下、校庭などに保護者が待機します。
先生は、引き渡しカードや名簿を使って、迎えに来た保護者が正しいかどうかをしっかり確認したうえで、子どもを引き渡します。
そして、済みには「済印」「リストチェック」などを確実に行い、終了後は管理職に報告します。
指定時刻までに引き渡しが完了しなかった子どもたちを一箇所に集め、その場で下校したり、自宅の近くまで送り届けたりします。

実際に災害が起きた場合は、子どもを一人で帰宅させません。保護者が迎えに来るまで、学校が責任を持って子どもの安全を守ります。
防災意識を育てる5つの避難訓練の指導ポイント
年に数回しか行われない避難訓練だけでは、子どもたちの防災意識を育てるには不十分です。
だからこそ、日々の学級経営や先生の指導の中で、避難の意味や大切さを丁寧に伝えていくことがとても重要なのです。
子どもたちの意識を高めるための避難訓練の指導ポイントは、次の5つです。
- 合言葉「お・か・し・も・ち」を徹底する。
- 災害の恐ろしさをきちんと伝える。
- 実際の災害事例を教材にする。
- 訓練後にはふり返りを必ず行う。
- 日頃の整列や歩行を、避難時に活かす。
①合言葉「お・か・し・も・ち」を徹底する
避難訓練で必ず登場する合言葉、それが「お・か・し・も・ち」です。
この言葉には、子どもたちが自分の命を守るための大切な行動のルールが込められています。
この合言葉は、避難訓練のときだけで覚えさせるものではなく、日常の行動の中で自然に身につくように指導していくことが必要です。
たとえば、昇降口の使い方、廊下の移動、整列など、普段の生活の中でも「おかしもち」を繰り返し確認しましょう。
さらに、「なぜその行動が必要なのか?」「どうして危険なのか?」といった背景や根拠をわかりやすく伝えることで、子どもたちの理解はより深まり、行動に対する納得感が生まれます。
②災害の恐ろしさをきちんと伝える
避難訓練を「なんとなくやるだけ」「いつものルーティン」と感じている子どもは少なくありません。
だからこそ、先生が災害がどれほど深刻なものか、どんな危険があるのかを真剣に伝えることが不可欠です。
こうした具体的でリアルなシミュレーションを通して、子どもたちは「これは本当に自分の身に起こるかもしれない」と感じるようになります。
③実際の災害事例を教材にする
子どもたちの意識を高めるためには、現実に起きた災害を知ることが非常に有効です。
「本当にあった話」だからこそ、子どもたちの心に深く残ります。
たとえば、東日本大震災では避難が遅れたことにより、多くの児童・生徒が命を落とすji事態となりました。また、学校で起きた火災の事例もあります。
5日午後2時45分ごろ、名古屋市北区志賀町2丁目の市立北陵中学校で、「教材室が燃えている」と教員から119番通報があった。部活動などで学校にいた生徒や教員らはグラウンドに避難したが、煙を吸ったとみられる2年生の男子生徒(13)が体調不良を訴え、病院に搬送された。
名古屋市消防局によると、教材室は中学校の北校舎3階にあり、楽器や学校行事で使う木材などが保管されていたという。消防車など約20台が出動し、火は約1時間半後に消し止められた。
このような実例を授業の時間に取り上げ、子どもたち自身が自分事として考える機会をつくることで、より深い学びと意識の変化が期待できます。
④訓練後にはふり返りを必ず行う
避難訓練は、やって終わりではなく、“どうだったか”をふり返るところまでがセットです。
特に、訓練直後は子どもたちの記憶が鮮明で、行動を客観的に見るチャンスでもあります。
さまざまな問いかけをして、子どもたち自身の言葉でふり返らせることが大切です。
実際に出てきた意見の中には、「階段では前の人との間隔をつめすぎないほうがいい」「しゃべってしまうと放送や先生の指示が聞こえなくなる」など、子どもならではの視点が含まれることもあります。
気づきや考えることを通して、“自分たちで避難をよくしていこう”という意識が育つのです。
⑤日頃の整列や歩行を、避難時に活かす
避難訓練のときだけ「きちんと並びなさい」「しゃべらずに歩きなさい」と言っても、整列や歩行がうまくいかないことは多くあります。
それもそのはずで、日頃から整列や移動の仕方を意識していないと、非常時にはとっさにできないものです。
だからこそ、体育の授業や健康診断できちんと並んだり、特別教室まで静かに移動したりするなど、日常生活の中で練習を積み重ねておくことが、避難行動にも大きく役立ちます。
「よそ見をしないで、まっすぐ前を向く」「相手と腕を伸ばした分だけの距離を空ける」などの基本を、毎日の生活で伝えておくことで、いざというときにも落ち着いた行動ができるようになります。
整列や歩行=命を守るための準備そのもの
まとめ
今回は学校で実施する避難訓練の目的や基本的な流れ、5つの指導のポイントについて紹介しました。
- 避難訓練は「ただの移動」ではなく、子どもたちや先生の命を守るための大切な行動であること
- 訓練の前後に指導や振り返りを丁寧に行うことで、子どもたちの防災意識がぐんと高まること
- 合言葉「おかしもち」や実際の災害事例などを活用しながら、子どもたちの理解と行動力を育てていくこと
この記事を読んだことで、避難訓練の目的や流れを理解し、「子どもたちに命の大切さをどう伝えるか?」「災害時にどう行動すべきか?」という指導の軸が見えてきたのではないでしょうか。
避難訓練は、年に数回しかありませんが、その一回一回に込められた学びの価値は計り知れません。
そして、その学びを深めるのは、日常の声かけや、先生の工夫次第です。
今日から、子どもたちと一緒に、「命を守る力を育てる避難訓練」に取り組んでいきましょう!