【真実】学校給食はただの昼ごはん?本当の意味と指導を徹底解説

どうも、まっつーです。
「学校給食って、ただのお昼ごはんでしょ?」と思っていませんか?実はそれ、大きな誤解なんです。
学校では、配膳のしかた、食事のマナー、栄養バランスの意味、友達との関わり方など、給食の時間を通して子どもたちにたくさんのことを教えています。
しかも、成長期の子どもたちの体と心を育てるための教育的意味をもっているのです。
今回の記事は、「給食=昼ごはん」というイメージを覆す、学校給食の本当の意味と指導のポイントをわかりやすく解説します!

この記事は以下のような人におすすめ!
- 子どもたちに「給食=ただの昼食」ではないことを、丁寧に教えたい
- 教員を目指していて、現場での給食指導を学びたい
- 給食の時間をもっと指導に生かしたい
- 保護者や若手教員に学校給食の意味をわかるように説明したい
この記事を読めば、給食の時間を“ただの食事”ではなく、“子どもたちの成長を支える指導の時間”として見直すことができ、明日からの関わり方に自信が持てるようになります!
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学校給食=教育活動=教材
学校では、お昼の時間になると「給食の時間」が設けられており、担任の先生の指導のもと、給食当番を中心に子どもたちが準備や片づけを行いながら、みんなで給食を食べています。
では、そもそも「学校給食」は何でしょうか?きっと多くの人が、「学校で昼食をとること」「子どもたちが給食を食べること」と答えるのではないでしょうか。
しかし、文部科学省が発行する「食に関する指導の手引 第二次改訂版(平成31年3月)」218ページでは、「学校給食」について次のように説明されています。
1 目的と役割
(前略)昭和 29 年には「学校給食法」が制定され、学校給食の法的根拠が明確になり、教育活動として実施されることになりました。平成 20 年6月に学校給食法が大幅に改正され、従来からの目標である学校給食の普及充実に加えて、「学校における食育の推進」が新たに規定されました。食育の観点を踏まえ、学校給食の教育的効果を引き出し、学校給食を通じて学校における食育を推進するという趣旨が明確になりました。
学校給食は、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のため、栄養バランスのとれた豊かな食事を提供することにより、健康の増進、体位の向上を図ることに加え、食に関する指導を効果的に進めるための重要な教材として、給食の時間はもとより各教科や総合的な学習の時間、特別活動等において活用することができます。
要するに、「学校給食」とはただの昼食ではなく、食育を進めるための学校の教育活動であり、先生にとっては“子どもたちへ指導するために扱う教材”でもあるのです。
世間の人から、「給食の時間は、ただの食事だから先生にとっては休み時間でしょ?」「子どもたちと給食を食べるだけだから、先生はラクだよね?」と思われがちです。
しかし、実際の給食の時間は、先生にとっても大切な指導の時間であり、決して“休憩”とは言えないのです。

学校給食は「教材」であって「給食の時間=指導の時間」なのに、どうして先生は給食費を自分で負担しなければならないの?休憩時間ならわかるけど…。

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学校給食の目的
学校給食は「教育活動」であり「教材」ということがわかっていただけたと思いますが、その目的は何でしょうか?
学校給食の目的は「学校給食法 第一章 第一条」に明記されています。
第一条 この法律は、学校給食が①児童及び生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ、②児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものであることにかんがみ、学校給食及び学校給食を活用した食に関する指導の実施に関し必要な事項を定め、もつて学校給食の普及充実及び学校における食育の推進を図ることを目的とする。
①と②について解説します。
①児童及び生徒の心身の健全な発達に資するもの
成長期の子どもたちにとって、毎日しっかり食事をとることは、体の発達や健康を保つうえで欠かせません。
学校給食は、栄養バランスが整えられており、家では食べにくい食材や献立にもふれることができます。
これにより、体の中から元気をつくり、風邪をひきにくくしたり、集中力を高めたりといった効果が期待できます。
また、給食の時間には、「ありがとう」や「ごちそうさま」の挨拶をしたり、友達や先生と楽しく会話をしたりしながら食べることで、心も育っていきます。
つまり、学校給食は、体を育てる栄養の場であると同時に、心を育てる学びの場でもあります。
②児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすもの
私たちのまわりには、いろいろな食べ物がありますが、「何をどのように食べるか?」を正しく判断することは、とても大切な力です。
たとえば、「野菜には体の調子をととのえる働きがある」「主食・主菜・副菜がそろっていると、栄養のバランスがいい」など、食材の役割や組み合わせを知ることで、食に関する正しい知識が身につきます。
そして、「少し苦手だけど一口は食べてみよう」「おかわりは加減して取ろう」といった判断力も、給食の時間を通して少しずつ育っていきます。
先生は栄養士(栄養教諭)や保護者と連携しながらその価値を理解し、子どもたちの食の学びを支えることが必要です。

子どもたちから「どうして学校で給食を食べるの?」と質問されたら、どう答えればいいの?

「学校給食は、みんなの体が元気に育ち、心もやさしく育つようにするための大切な食事なのです。それに、どんな食べ物が体にいいかを知って、自分で考えて食べる力をつけるための大事な時間にもなるんだよ」と答えるようにしましょう。
小学校学習指導要領における「学校給食」
小学校学習指導要領(平成29年告示)の「第6章 特別活動」の184ページには、学校給食について以下のように示されています。
エ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
給食の時間を中心としながら,①健康によい食事のとり方など,望ましい食習慣の形成を図るとともに,②食事を通して人間関係をよりよくすること。
①と②について解説します。
①健康によい食事のとり方など,望ましい食習慣の形成を図る
子どもたちが毎日の給食を通して、体によい食べ方や食べ物の選び方を自然と身につけていくことを目指しているという意味です。
たとえば、「野菜も残さず食べよう」「よくかんで食べよう」「栄養バランスのとれた食事が大切だよ」といったことを、給食の時間にくり返し体験することで、子どもたちの中に“正しい食の感覚”が育っていきます。
これらは、大人になってからの健康にも深く関わる、大事な生活習慣の一部です。
つまり、給食はただ空腹を満たすものではなく、将来の健康や生き方にもつながる「食の学び」の時間でもあるのです。
②食事を通して人間関係をよりよくする
子どもたちが一緒に食べる体験を通して、友だちとの関係を深めたり、思いやりの心を育てたりすることを意味しています。
給食は、単に「食べる時間」ではなく、みんなで食事を囲む中で「ありがとう」「どうぞ」「いただきます」などの声をかけ合いながら、相手を大切にする気持ちやマナーを学ぶ貴重な場です。
また、配膳を手伝ったり、苦手な食べ物にチャレンジする友だちを応援したりすることで、仲間との信頼や絆が少しずつ育まれていきます。
こうした日々の積み重ねが、子どもたちの人間関係づくりの土台となり、安心して過ごせる学級づくりにもつながっていくのです。

これも、子どもたちから「学校で給食を食べる理由」を聞かれたときに、使えそうだね。

「学校給食は、バランスのよい食事のとり方を身につけて、元気な体をつくるために大切なんだ。また、みんなで楽しく食べることで、友だちとの仲がもっとよくなるからだよ」と答えることもできるね。
学校給食の指導
【特別活動編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の58ページには、学校給食の指導について以下のように示されています。
(前略)給食の時間は,①楽しく食事をすること,②健康によい食事のとり方,③給食時の清潔,④食事環境の整備などに関する指導により,望ましい食習慣の形成を図るとともに,食事を通してよりよい人間関係の形成を図る。そして,⑤適切な給食時間を確保した上で,給食の準備から後片付けを通して,計画的・継続的に指導する必要がある。また,食を取り巻く社会環境の変化により,栄養摂取の偏りや欠食といった食習慣の乱れ等に起因する肥満などの生活習慣病,食物アレルギー等の問題が指摘される現在,⑥家庭との連携が今後更に重要になる。心身の健康に関する内容にとどまらず,自然の恩恵への感謝,食文化,食料事情などについても⑦各教科等との関連を図りつつ指導を行うことが重要である。
これらの指導に当たっては,⑧栄養教諭の専門性を生かしつつ,学校栄養職員や養護教諭などの協力を得て指導に当たることも必要である。また,これらの学校給食に関する内容については,学級活動の授業時数には充てない給食の時間を中心に指導することになるが,⑨学級活動の時間でも取り上げ,その指導の特質を踏まえて計画的に指導する必要がある。その際,学校給食を教材として活用するなど多様な指導方法を工夫することが大切である。
まずは①〜⑨について解説します。
①楽しく食事をすること
学校給食において言われる「楽しく食事をすること」とは、ただ“にぎやかにおしゃべりをしながら食べる”という意味ではありません。
これは、子どもたちが安心して、心地よく、気持ちよく食事ができる環境や関わり方を大切にするということです。
このように、給食の時間を「心が育つ時間」にすることが目指すべき姿です。
また、「食べたくない子が無理に食べさせられる」「注意されてばかりで楽しくない」ような給食時間になってしまっては、本来の目的を果たせません。
「おいしかった!」「また食べたい!」と思える経験を重ねることが、食への興味や関心につながっていくのです。
完食指導の問題点
以前から、子どもたちに給食を残さず食べさせようとする「完食指導」が問題視されてきました。
たとえば、「給食を食べ終わるまで席を立たせない」「給食を残したら罰として休み時間をなくす」などの対応が、指導として適切なのかどうかが問われています。
学校給食で重要なことは、【特別活動編】小学校学習指導要領解説で示されている通り「楽しい食事」です。
しかし、強制的に食べさせたり、罰を与えたりするような指導では、子どもが食べることに対して不安やストレスを感じてしまい、逆効果になります。

先生に求められているのは「子どものペースや気持ちを尊重しながら、少しずつ食の幅を広げていく」ような関わり方です。「給食の時間=楽しい食事の時間」を実現することが大前提だいうことを決して忘れてはいけません。
②健康によい食事のとり方
学校給食における「健康によい食事のとり方」とは、子どもたちの体が元気に育ち、生活リズムや心も整っていくような食べ方のことを指します。
学校給食は、栄養士さんが子どもたちの年齢に合わせて栄養のバランスをしっかり考えて作られている食事です。
だからこそ、給食の時間を活かして「なぜこれを食べるのか?」「どんな栄養があるのか?」を伝えることで、子どもたちは“健康によい食べ方”を自分で考えて選ぶ力を身につけていきます。
また、学校給食の時間は、ただお腹を満たすだけでなく、食べ方やマナー、食べものの役割について学ぶ時間でもあります。
先生の声かけや、一緒に食べる友だちの姿が、子どもたちに「食の大切さ」を伝えてくれるのです。
③給食時の清潔
「給食時の清潔」とは、子どもたちが安全に安心して食事をするために、身の回りや体をきれいに整えることを意味します。
もし衛生管理が不十分であれば、食中毒や感染症のリスクにつながることもあります。
だからこそ、担任や栄養教諭は連携しながら、子どもたちが自然と「清潔に食べる習慣」を身につけられるよう、日々の声かけや丁寧な指導を重ねることが大切です。
④食事環境の整備
「食事環境の整備」とは、子どもたちが安心して、気持ちよく給食を食べられるように、教室やその周囲を整えることを意味します。
ただ単に机やイスを並べるだけではなく、落ち着いて食事に向かえる雰囲気や衛生面の配慮、声かけや時間の流れなどを整えることすべてが含まれます。
こうした環境が整うことで、子どもたちはただ「食べる」だけでなく、「楽しく食べる」「人と関わりながら食べる」ことの心地よさを実感できるようになります。
⑤適切な給食時間を確保した上で,給食の準備から後片付けを通して,計画的・継続的に指導する
学校給食を、子どもたちの食の習慣や協力する力を育てる教材として扱うためには、「時間のゆとり」と「毎日の積み重ね」が必要です。
準備から片付けまでの流れを、慌てることなく安全に行えるよう、十分な給食時間を確保することが大切です。
そして、正しい手洗いの仕方、配膳のルール、食事中のマナー、片付けの手順などを、毎日くり返し、計画的に教えていくことで、子どもたちは自然とできるようになっていきます。
このような継続的な指導があるからこそ、子どもたちは「自分で気づいて動く力」「感謝の心」「みんなと協力する楽しさ」を育てていけるのです。
⑥家庭との連携
近年、社会の変化により、朝ごはんを食べない「欠食」や、好きなものばかり食べる「偏食」が増え、子どもたちの栄養バランスがくずれやすくなっています。
その結果、肥満や生活習慣病のリスクが高まったり、食物アレルギーへの対応も難しくなったりすることが指摘されています。
学校では、栄養バランスのとれた給食や食育の授業を通して、子どもたちが健康的な食の知識と習慣を身につけられるように指導します。
一方、家庭でも朝ごはんをしっかり食べる、アレルギー情報を共有するなどのサポートが必要です。
子ども一人ひとりの健康な成長のために、学校と家庭がつながって支える体制が、これからますます求められているのです。
⑦各教科等との関連を図りつつ指導
学校給食を活用し、各教科の授業で学んだことと結びつけて深く理解させる工夫することが求められます。
たとえば、社会科で地域の特産物を学んだあと、その食材が使われた給食が出ると、「この野菜は地元で育てられているんだ!」と、学びが実感になります。
また、理科で栄養や体のしくみを学んだあとに、給食の中の栄養バランスについて考えることで、「自分の食べ方が体にどう関係しているか?」「食べ物を口に入れたら、どのように消化されるのか?」も自然と分かってきます。
子どもたちは「知って終わり」ではなく、「使える知識」として定着させることができ、食に対する関心や理解がより深まります。
⑧栄養教諭の専門性を生かしつつ,学校栄養職員や養護教諭などの協力を得て指導に当たる
給食指導や食育を行うときに、担任の先生だけでなく、専門知識をもつ先生たちとチームで協力して取り組むことが有効です。
たとえば、栄養教諭(栄養士)は「この献立にはどんな栄養があるのか」「どんなふうに食べたら健康にいいのか」などをわかりやすく伝えるプロです。
養護教諭は、体調に合った食事のアドバイスや、アレルギーへの対応をサポートしてくれます。
それぞれの立場で子どもたちを支えることで、より安全で安心な給食時間が実現し、一人ひとりに合った細やかな指導も可能になります。*
このような連携によって、子どもたちは「食べることの大切さ」や「健康に生きるために必要な知識」を自然と学ぶことができるのです。
⑨学級活動の時間でも取り上げ,その指導の特質を踏まえて計画的に指導する
学校給食に関することを、給食の時間だけで終わらせず、学級活動の時間にもしっかりと扱うことを意味します。
たとえば、「なぜ残さず食べることが大切か?」「どんな食べ方が健康につながるか?」など、子どもたちがじっくり考えたり話し合ったりする時間をとることで、給食がただの食事でなく“学び”になるのです。
このとき大切なのが、「今日はこのことを伝えよう」「このテーマでふり返らせよう」というねらいをもった計画的な指導です。
前述の内容と重複しますが、栄養教諭(または栄養士)や養護教諭(保健の先生)も指導者として関わってもらい、連携しながら授業を組み立てていきましょう。
まとめ
今回は学校給食の本当の意味と指導のポイントについて紹介しました。
- 学校給食はただの昼食ではなく、子どもたちの成長を支える大切な教育活動であり、教材であること
- 給食の時間には、楽しく・安全に・正しく食べることを学ぶための指導の工夫が必要であること
- 栄養教諭や養護教諭と連携しながら、計画的に進めることが、子どもたちの食育の質を高めるカギになること
この記事を読んだことで、「なぜ学校で給食を食べるのか?」「給食の時間に何を教えればいいのか?」という疑問に、自信をもって答えられるようになったはずです。
そして、子どもたちにとっても、給食の時間が単なる食事ではなく、「楽しくてためになる学びの時間」になるよう、指導の視点を少し変えてみるだけで、日々の給食がもっと意味のある時間になります。
今日から改めて、給食を“教材として扱う時間(教育活動)”として見直し、子どもたちの豊かな成長を支える取り組みを始めていきましょう。